インド、葛藤の日々
ウクライナと台湾の情勢が活発になっている今、インドの動きを改めておさらいしたい。
インドは国際舞台の注目プレイヤーだ。
まず、なにより世界に八カ国しかない「核保有国」の一角を担っていて、その動向は趨勢に影響を与える(ちなみにイスラエルが核保有しているのは公然の秘密であり、それを含めると核保有国は九カ国)。
しかも数年後には世界一の人口を抱えると目されている。
そんなインドの、中ロをめぐる大づかみな動向の話をする。
ざっくりとした話、インドは反中親露である。
もうそれだけで中露同盟に翻弄される立場になるのは想像に難くない。逆に西側陣営としても【絶対に】自陣営に引き入れたい大国である。
まずインドの反中の動向について見ていこう。
2020年6月。国境付近で衝突して、インド側は20人以上の死者を出した▼
2021年1月にも紛争があった。▼
つまりインドと中国は揉めていて、まあ、あまり仲はよろしくない。……いや、仲は悪くても同盟は結べるから、表現をかえよう。要するに「領土問題で利益が一致しない」ということだ。今のところは。
また、中国がこんな嫌味なことをやっているところを見ると、インドから嫌われても一向にかまわないようである▼
つぎにインドとロシアの話である。
2021年12月6日
国際ニュース欄はウクライナの国境線に、ロシア軍が集結しているという話題で持ちきりだ。そんなさなかに眉根をひそめる出来事が起きた。なんとインドの海軍基地をロシアと相互利用する協議を行うというではないか。
不穏当。
プーチン大統領が右手でウクライナを取り扱いながら、左手でインド洋に手を出した▼
しかし結果として、インド海軍基地の相互利用は見送られたと翌7日には報じられた。個人的にはなんとなく胸をなでおろす心境だった▼
プーチン大統領が<中露同盟>に<印>の一字を加えて、自陣を強化しようとしていると考えるのが自然な解釈じゃなかろうか。上記引用にもある通り、インド軍の兵力はロシア産の兵器に支えられている。
そんな流れの中でのロシアによるウクライナ侵攻である。
侵攻直後からロシアは世界中から経済制裁を受けていたが、(下馬評通りに)中国とインドはその列に加わららず、精彩を欠いた声明を出すにとどまっている。
世界中がウクライナ情勢がどうなるか注目していたし、同時に中国とインドがどう動くのかにも注目していた。
しばらくすると情勢がクリアになってきて、ロシアの戦略的大敗が浮かび上がってきた。
仮にロシアがドンバス地方を獲ったとて、世界中から課された地獄の経済制裁によってそのまま衰退していくのは目に見えている。
2022年4月にはインドも重い腰を上げて、戦闘機を自分でつくると言い出した▼
この記事を書いているのは2022年7月31日。ナンシー・ペロシ氏が訪台するかどうかに、世界中が注目している。
もし<何か>起きた時、今のところインドは中立の立場をとると想像する。しかし<さらに何か>があれば中国と対立する側の陣営に転ぶ。
西側の陣営がそうなるよう「創意工夫する」という想像もしてしまう。
さすがに「想像力が豊かすぎる」と言われるだろう。
ひとつだけ、こぼれ話をする。
インド軍港をロシアと相互に利用するという協議があった日の記事を共有した。言い換えれば、インドとロシアが軍事的に最も親密になろうとした日だ。
その翌日の2021年12月8日。
インド軍の制服組のトップである<国防参謀長>が死亡した。【悪天候】で乗っていたヘリコプターが事故を起こしたということだった。
ちょっと並べてみただけだ。深い意味はない。
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