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古民家ワークショップ前夜
私の住む兵庫県は、比較的古い民家が多く残る地域です。
姫路市安富町の古井家住宅(民家としては日本で一番古い建築様式ともいいわれる)や、神戸市の箱木家住宅(庄屋さんの住宅として、現存する最古の建築)など、「千年家」として知られる有名な建築以外にも、現役バリバリの茅葺民家も多く残ります。
そんな地域柄、わたしの家族も茅葺民家を所有しています。建築年は不明。一度火事にあって焼失したという口伝が残っているので、今現存の建物はたぶん江戸時代の終わりくらい・・・。しかし、住居として使わなくなって既に20年以上が経過しています。
現在、日本では住民のいなくなった空き家が増え、社会問題にもなっています。同じ問題を抱えている方の何かの役に立てばと思うので、我が家の茅葺民家のことを記録していこうと思います。
我が家の場合は農家でしたので、母屋以外にも蔵、味噌部屋、納屋などが必要に応じて増築しながら使われていたのですが、住まなくなって20年、そして家の風通しや手入れに行くことが出来なかった6年を経て、この数年間で急速に建物の傷みが進行しました。特に、納屋の屋根の傷みがひどく、瓦が落ちてくるようになり、瓦がなくなった部分から水が入りこみ、ある日見に行くと土壁が落ちて穴があいてしまっていました。
普段住んでいない場所なので、同じ地域の人に迷惑をかけるわけにはいかない。解体するなら全部取り壊してしまった方が安くつくのでは…
持ち主はそういった意見でしたが、せっかく100年以上もこの場所にある建物をそんなに簡単に壊してよいものか。材料にしても技術にしても、壊さずに残せば、この建物は生きた教科書になるのではないか。
現在、多くの良い建物が解体される理由は、使い道がみつからないからです。どんなに良いものでも、どんなに有名な建築家が設計したものでも、歴史的学術的価値があろうとも、新たな使い道が見出せない限り壊されていきます。維持にもお金がかかりますし、修繕せず放っておけば危険です。
何とか維持していける方法を考えたとき、私たち家族の選んだ道は「減築」でした。増築して増えた建物を解体し、維持する建物を少なくすれば、維持が少しでも楽になるのではないかと考えたのです。
どんなふうに減築を進めていったのか、どう活用していこうと考えているか、今どんなことをしているか、等をぼちぼち紹介していきます。
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