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古民家の解体工事

家族所有の古民家を、部分解体することに決めてから、解体工事に至るまでのことを簡単にまとめておきます。

工事の見積もり

まずは、当たり前ですが、誰に解体を依頼するかを決めるため見積もりを取りました。我が家の古民家は、増築を重ねていたので建物同士が屋根や壁を共有していましたので、壊しすぎると余分な修繕費が発生してしまいます。そこで、業者さんを選定して相見積もりを取りました。

相見積もりは建築業界ではよくあるシステムですが、業者さんによって工事の考え方・方法が違うので、単純にいくらかかるかだけではなく、どの業者さんの考え方が自分と合うか、を比較検討するものです。三社で実施することが多く、この場合は三社見積もりといいます。

我が家の場合は、解体工事とあわせて、最低限の修復工事もしなければなりませんでした。このため、どこまでの範囲をどう壊してどう修繕するか、という考え方も焦点となりました。例えば、解体工事については、重機で解体するか、手ばらしで解体するか。修復工事については、無垢の素材を使うか、合板やトタンなどを使うか。

見積もりの数字が違うということは、やり方が違うということです。自分がどうしていきたいか、この段階である程度考え方をまとめることが大切です。「安いから」と数字だけで判断すると後悔するかもしれません。

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解体する建物の掃除

解体する建物には、当然たくさんの荷物(我が家の場合、農機具や稲わら、古い建具や資材など…)が山積みになっています。これらの荷物を原則としては空っぽにしなければ解体できません。

何世代にもわたる農家の荷物を処分するのは大変で、この作業だけで2ヵ月を要しました。掃除を請け負う業者もいるようですが、結構高くつくようです。そもそもお金を節約したかった我々は、自分たちで近所のごみ処理センターへ搬入することを選びました。

上の写真は解体する納屋の2階に保管されていた稲わらの束。こんなものは土に還るものですから、ごみでもなんでもありません。しかし現代の社会では、これもお金を払って「ごみ」として処分しなければなりません。

何かおかしいな…と釈然としなかったところへ、ちょうど古民家を再生している知人が、茅葺を拭きなおす時に、化粧わらとして使うので譲って欲しいと声をかけてくれ、まるまる引き取ってくれました。今は稲刈りにコンバインを使うので、長い稲藁はなかなか入手困難なのだそうです。処分しなければならなかった材料が、別の現場で立派に資材として役に立つのですから、こんなにうれしいことはありません。

最近は民家の解体時に出てくるいろんなものを、リサイクルする動きも増えてきていますが、なんでもゴミ扱いしたくないものです。

そして愈々解体工事

掃除が終わり、業者も決まればいよいよ解体工事に入ります。5月に解体を決めてから、ここまでくるのに4ヶ月かかりました。

修繕する範囲なども含めて、信頼のおける設計事務所の先生に相談に乗っていただいたので、建築に縁のない方と比べると、いろいろと条件は良かったと思います。それでも検討には時間がかかりました。

そもそも持ち主は解体したほうが良いと言った建物を残すための、部分解体ですから、残す側の建物にはそれだけの意味がなければなりません。そして、お金も余りかけられない。ですが、人間よりも長い時間その場所に建っていた建築を簡単に壊すことにはどうしても違和感がありました。

残すのであれば、なるべくなら建てられた時の工法で、あるがままに残したい。ということで、結局手ばらし解体、なるべく伝統的な工法での修繕ですすめていくことに決めたのでした。







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