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本物の風神雷神図屏風に会ってきました ー「琳派と印象派」展にてー

アーティゾン美術館にて開催された、「琳派と印象派」展に行ってきました。
お目当ては何と言っても、かの有名な俵屋宗達の「風神雷神図屏風」。京都の建仁寺所蔵の国宝です。

京都で大学生をしていた時に、一度建仁寺へ見に行ったことがあるんですが、建仁寺にあるのはレプリカでした。本物は京都国立博物館に寄託されており、そのことを知らぬまま京都を離れてしまったんですが、今回やっと数年越しに対面することができました。嬉しい。

・怖いはずなのにチャーミングな風神雷神

雨風を起こす「風袋」を持ち、颯爽と登場する風神。
稲妻をもたらす「天鼓」を背負い、勢いよく現れる雷神。

筋骨隆々で恐ろしいはずの2神ですが、ニヤニヤと何かを企むような表情が人間のようで、何だか親近感を覚えてしまいます。
今から嵐巻き起こしたるで〜、と言わんばかりの表情がユーモラス。

風神雷神は千手観音の眷属(けんぞく:従者のような存在)なんですが、眷属は観音や菩薩の静謐な感じとは違い、どことなく人間に近い形で描かれることが多いと思います。
ゴツゴツの角が生えているわ、裂けそうなほど大きく口が開いているわで、完全に近いとは言い切れませんが。

・躍動感の立役者は「黒い雲」

風神雷神が乗っている黒雲の軌道に注目してみると、風神が右からスーッと現れているのに対し、雷神は左上からカーブをしながらギューンと急降下しているように見えます。

この黒い雲がいい仕事をしていますね〜。切り取られたこの場面の枠外や、その前後の物語がどうだったのか、とても妄想が捗ります。
風神はフワーッと気まぐれに跳ね回って風を吹かせ、雷神は縦横無尽に激しい稲光を起こす様子が目に浮かびます。

力強く曲げられた腕や足、まとった衣の舞う様子など、2神の姿自体も躍動感に満ちています。しかし雲が描かれることによって、より動きが出て絵全体が生き生きとしているように感じます。
雲がなければ少し物寂しい印象になってしまったのではないでしょうか。

・衝撃の「風神雷神図屏風デート」

余談ですが、NHKの「びじゅチューン!」という番組をご存知でしょうか?
井上涼さんというクリエイターによる、美術作品紹介ソング番組です。

この番組で「風神雷神図屏風」が取り上げられているんですが、この歌が大好きなんです。その名も「風神雷神図屏風デート」。

可愛い。

風神と雷神のウキウキした様子から、「この後こっそりデートする」という所にまで発想を飛ばせるのがすごい。人によって色々な見方があって本当に面白いです。

この歌1回聞くと頭から離れなくなるんですよね〜。会場で屏風の前に立っている時も、脳内ではこの曲がエンドレスリピートでした。

・会えてよかった 俵屋宗達の風神雷神

この屏風絵はその後、尾形光琳や酒井抱一によって模写されていますが、
飄々としているのにダイナミックな雰囲気は、俵屋宗達のものにしか無いと思います。

今回やっと会えて満足でした。東京で開催されてとてもありがたかったです。

アーティゾン美術館は毎回魅力的な企画展が開催されていて、ついつい足を運んでしまいます。
美術館所蔵の作品は基本写真OKなのもめちゃめちゃありがたいです。これからの企画展も楽しみです。

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