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まずは誰かの仕事を「いい感じ」にしてみること - SaaS Designer Advent Calendar 2023 14日目

こちらの記事は SaaS Designer Advent Calendar 2023 14日目のための記事になります。

サーフィス株式会社という小さなデザインスタジオの代表 兼 デザイナーとして複数のSaaSプロダクト(とそれ以外)の制作に関わってきています。
デザイナーはこんなことをしてもいいんじゃないかなと伝えたいテーマで書いてみました。

はじめに

いきなりですが、デザイナーがプロダクトをゼロから作ること・大きく変えることにいつも関われるわけではありません。
では、僕たちデザイナーはどうやってサービスを作る土台となる経験を積んでいけばいいのでしょうか。

経験を積むための小さな一歩として、先輩について学んだり自分でサービスを考えて自主制作をしたり、新規事業を立ち上げる会社で副業をしたり、いろいろな方法があるかと思います。
この記事では、僕個人の体験談をもとに今みなさんが所属するチームや組織の中で誰かの仕事を「いい感じ」にすることをご紹介します。


チームのためになることを考えた結果、ドキュメントのテンプレートを直していた話

当時、スマートフォンゲームのチームでデザイナーをしていました。
そのチームでは毎月数本のイベントを作っており、そのための企画書や設計書・そしてそれらを扱うための会議が行われていました。
チームには制作スピードや品質をより良くしたいという思いがあり、僕はそのために改善に取り組みました。

とにかく聞いて、起きていることを知る

まずは、チームに所属するプランナー・CS・エンジニア・・・様々な職種がいつどのタイミングで動き、課題がどこで発生しているかの確認をしました。
話を聞く中で、知っていたつもりの他職種の仕事も意外と知らないことが多く、特に自分が制作している裏で他チームが先の作業の準備などを行なっていることを知りました。

大事な課題を考える

いくつかの課題がありましたが、その中でも影響が大きいと考えたのが企画書や仕様書が遅れる・用意できる内容が人によって異なってしまうというものでした。

資料に求めるものと用意されていたもののギャップのイメージ

プランナーは最初から多くの情報を提供したいので時間が足りないのが課題と考えています。
しかし、期日までに全ての用意が難しく、人によって何が揃うかもマチマチでした。
それにより制作チームは情報が足らずに作業が開始できなかったり、プランナーに確認をするMTGを設けたりする必要が発生していました。

話を聞いてわかったのは、実際のところ制作メンバーが初期に必要としている情報はプランナーの想定よりもっと少ないものでした。
つまり課題は時間ではなくタイミングがずれていることにあると考えられます。

自分達にできる解決策を考える

どうやら同じ仕事量でも適切なタイミングで情報を少しずつ用意できれば、チームの制作スピードが上がりそうだなと仮説が見えました。
そのために企画書・仕様書のフォーマットを見直すことにしました。
例えば今までの仕様書は全て揃った状態を前提としてフォーマットされているので、最初からそれら全てを埋めなくてはいけないような圧を感じます。
なので、完成時ではなく入力タイミングでの見え方を考慮し、項目のグルーピングを変えたりラベルをつけることで作業の優先順序をつけられるようにしました。

チームでテストしてみる

作った新しいフォーマットをもとに、仮想のイベント開発のキックオフMTGをチームで行いました。
よくある流れをみんなで体験することで、実際の環境に即したフィードバックを得ることとチームに新しいフォーマットの紹介することを兼ねています。
これによりブラッシュアップしたものを最終的に採用することになりました。


というように、30人ほどのチームの中の話ですが取り組んでみました。
結果としては、僕たち制作チームは欲しい情報が早いうちに手に入ることで仕事がしやすくなりましたし、プランナーも負担は増えず建設的なやりとりに時間が使えるようになりました。

ここで作ったものはスライドとスプレッドシートぐらいなのですが、SaaSを作る上ではとても大事な経験になっていると今でも思います。

SaaSのデザインを考えるということは、誰かの仕事をより良くするということ

いろいろな業界・職種の人に向けてたくさんのサービスがあります。
でも、つまるところ使う人が「これを使ってよかった」と思ってもらえるようなものを提供するものです。

売り物になるサービスはなかなか失敗もしづらいし、関われる機会もたくさんはないかも知れません。
すでに決まっている仕様のままにレイアウトすることや、機能的な制約の中でボタンの色を変えることしかデザイナーの自由がないこともあります。

だからというわけではないですが、組織やチームの中でちょっとやってみるのはどうでしょうか。
誰かの仕事をより良くするために悩み考えるという点では、対象が会社の外でも中でも同じです。
現状をよく観察でき、改善を実施した後もその効果を(身近で)感じることができるという意味でも、身近な対象に向けた活動は学びが大きいものです。

課題を探し解決策を考えるにあたりできる限りのことを行う、それは十分すぎるぐらいデザイナーの活動ではないでしょうか。
そこではデザインの基本的な考え方やビジュアライズの知識などが活きてきます。そして狭い答えに辿り着こうとするほど磨かれます。

と、くどいぐらいのおすすめになってしまいそうなのでここまでにします。
最後に、取り組んでみようかなと思っている方に向けて参考になりそうな点を書いて終わりにします。

取り組む上でのお勧めな観点

なるべく複数の所属や職種が関係するものがよい
似た人の集まりよりも、立場や考え方がバラけるので難しくなりやすいです。
あまりにも広い対象(例えば全社員とか)は逆にお勧めできませんが、2−3つぐらいのグループは程よい大きさになると思います。

小さな課題から
あくまでも本業の方手間に行うことなので、無理に大規模な解決方法に手を出さなくて大丈夫です。
上の観点と矛盾してみえるかもしれませんが、複数の対象を見ながらシンプルでそれなりに役に立つ解決策を見つけられると良い感じです。

一人で全部解決しない
あなたが会議の司会をして、その会議をうまく終わらせることは素晴らしいですが、それは仕組みではなくてあなた個人の能力に依存するものになります。
サービスの設計として考えるのであれば、あなたでなくてもうまくいくような方法がより良いものと言えます。
(それはそもそも「会議」という形ではないかもしれません)

自然とそうなるような定着も考える
「明日からこのフォーマットを使ってください」とSlackで伝えるだけだとなかなか上手くいかないものです。
きちんと意図を伝え共感を持ってもらうことや、ツールの力を使って意識せず取り組みに参加できるようにすることなど、無理なく定着できる仕組みも考えてみてください。
迷ってしまったら、まずは直接話すことをこまめにやるだけでもよいと思います。おそらくその対話の中で、よりよいアプローチがいくつか見つかります。

まとめ

意外と身近なところにも、「デザインをする」「サービスを作る・良くする」という機会は潜んでいるということをお伝えしたくて書きました。

現状を観察し、課題を探し、解決方法を考えられる機会はとても大事です。
もしこれを見てビビッときた人は、ぜひチームの誰かやマネージャーに困りごとを聞くところからスタートしてみてください!

そして、そんななかなか日の目は見ないがチームの力を底上げするような取り組みはとても大好きです。
ぜひそんなことをしているお話があれば聞かせてください!

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そういう社内改善の取り組みで困っている、手が足りないということがあればお気軽にご相談ください〜

SaaS Designer Advent Calendar 2023

明日はtoofuさんです!お楽しみに!

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