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かぜのでんわ

“やまのうえに 1だいの でんわが おいてあります。きょうも だれかが やってきました。せんのつながっていない そのでんわで はなしをするために”

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故人と繋がる不思議な電話が描かれた絵本『かぜのでんわ』は、岩手県大槌町に実際に置かれている「風の電話ボックス」をもとにつくられたお話です。

お兄ちゃんに会いたい、たぬきの子。ぼうやに会いたい、うさぎのお母さん。奥さんに会いたい、きつねのお父さん。みんな、話したいことをたくさん抱えて、赤い電話の受話器をとります。

私自身、ページをめくりながら、“もしそんな電話があるなら掛けてみたい”…おじいちゃん、おばあちゃん…声が聴きたい人の顔が浮かんできます。電話はなくても、こうして思い出しているだけで、心の中のつぶやきは届いているよね。そんな気もしてきます。

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映画『風の電話』も公開され、第70回ベルリン国際映画祭で「ジェネレーション 14プラス部門」国際審査員特別賞(スペシャル・メンション)を受賞。私も鑑賞しましたが、“まだ、何も終わっていない” 苦しみや切なさ、その一方で、未来に向けた希望や力強さが、大画面の隅々から伝わってくるような映画でした。生きることの象徴のように、“食べる”シーンが多かったのも印象深かったです。

東日本大震災から9年。今年は追悼式が中止されましたが、絵本を通じて、伝え続けていければと思っています。


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