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二度と(しばらく)行けないあの店で 鹿児島ラーメン桜島 県店

ここで初めて食べたのはいつだろうか。小学校低学年の頃か、熱々のさっぱりとした豚骨ラーメンに細い麺が入っている。渦巻きのプリプリの小ぶりのチャーシューが載っていて、小ネギがパラパラと…
 おばあちゃん二人で切り盛りしているお店で、席は4席か6席か。ラーメンは一杯700円から。テーブルの上にある、辛味のついたもやしは乗せ放題。と言った店だった。
 
 僕がいつも頼むのは、味玉ラーメン。ラーメンに、固く茹でられた卵が濃く味がついて載っている。たまに、味噌ラーメンも頼む。味噌ラーメンには、麻婆豆腐が載っている。これらを、素早く食べる。飲むように食べる。ふうふうとするが、冷めない。ちょっとやそっとじゃ冷めない。途中で味を変える。変える必要は特に無いが、載せると美味しい辛いもやしを乗せる。美味しいけどちょっぴり辛い。スープを最後まで飲むとなぜか丁度良く腹が膨れる。
食後に水を飲み、お会計をし、外の空気を吸う。松本の空気。田舎から出てきた僕はハイカラな気分になる空気と味だ。
 
 ネットではそこまで評価の高い店ではない。むしろ低い。しかし、その評価には反映されない良さがあると感じる。店内には、レトロな映画のポスター、昔の給水機、汚い暖簾。全てが、松本の県でお腹の空いた学生、疲れたサラリーマン、変わりゆく街を見てきたことを店の佇まいが物語っている。
 僕はいつも家族と行っていた。その家族の移り変わりもこの店は少し離れた松本から見守ってくれている。イオンやパルコに行っても、その近くでは食べずに、わざわざここに来て食べているくらいなので、ここが好きなのかもしれない。おばあちゃん元気かなあ。また、元気にお店をしてくれたら良いなあ。

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