中国留学に至るまでの回想 その4

2005-04-28 21:49:45

その冬、10日間上海に行った。

日本からは単身で行って、
現地で叔母、叔父と合流。

実はそれまで海外旅行って言ったら、
母の里帰りとかで台湾にしか行ったことなかった。

もちろん中国は初めて。

着いてすぐ、何と言うか…、
初めての中国やったからかも知れへんけど、
すごく高揚感を感じた。

空港から市内へ向かう車の中から見える、
“上海”の空気。

整備された高速道路、
建ち並ぶビル、
ライトで光り輝く明るい街。

私の思ってた中国のイメージが、
ほんと一瞬で吹き飛んだわ。

すっごいドキドキ、ワクワクして、
この10日間がどんな旅になるのか、
ほんと楽しみやった。

上海に滞在中、叔父の好意で、
叔父の会社を見学させてもらうことができた。
社員数十名の会社。

日本と違って社員が普段着やった。

何より驚いたのは、社員がみんな若いこと。

ほとんどの人が20代で、
上の人でも40代やったと思う。
若くてパワーがある雰囲気やった。

バリバリ働いてて、
自分の意見もちゃんと主張して、
すごくしっかりしてる人やなぁ、と思ったら、
実は私と2,3歳しか変わらんかった。

「中国人ってすごいかも。」って思ったら、
何か自分が幼すぎて、情けなくなってきた。

大学出てすぐの若い人でも、
実力があれば、責任ある仕事を積極的に任せてもらえる。

実力主義やから、みんな必死。

中にはサボる人もいるみたいで、
例えば、
期限付きの仕事があって、
「期日中に仕上げれそう?」って聞いたら、
「大丈夫、大丈夫。」って答えるんやけど、
結局、できてなかったり。

ちゃんと、うまいことお尻叩かないと、
仕事が期日に間に合わないことも、
しばしばだそう。

日本ではあんまり考えられへんことやと思う。
仕事はちゃんと納期に間に合わせようとするし、
きちっとこなすやんか。

日本人が真面目過ぎるのか、
中国人が怠けるのかは分らんけど、
文化、慣習、考え方の違いってかなり大きい。

でも、そこで働いてる人はほとんど、
勉強熱心やと思った。
賢いし、頭の回転が速いし。
感心させられることばっかで、
自分がちっぽけに思えたもん。

私は、上海の街の発展ぶりにかなり驚いて、
これからもっともっと開発が進むんやろな、
って思ってたんやけど、
ある上海の人は、
「発展するスピードが速すぎる。
どんどんビルが建設されてるけど、
基礎工事が甘くなってるとこもあると思う。
今はいいけど、数十年先に、
発展の残した傷が見えてくるかも知れない。」
って言ってた。

「すごい発展や!」って思ってる私とは裏腹に、
意外にも冷静な意見を聞いて、ビックリした。

でも確かに、そういう面があるのかも。

蘇州に行った時、バイパスの工事現場を見たんやけど、
その現場、ショベルカーとか重機がないねん。
人間がツルハシ持って工事してた。
バイパス作るのにやで?
失業問題もあるし、
できるだけ労働力を使おうってことなのかも知れへんけど、
日本では考えられない光景やったから驚いた。

それまで、私は発展の明の側面しか見えてなかったけど、
実際にそこで暮らしてる人の話とか、
実際の街の光景から、
発展の暗の側面を知った気がする。

それで、自分の視野がまだまだ狭いってことにも気付いた。

本を読んだだけ、とか
ニュースで見ただけ、とかの知識じゃなくて、
自分の目で見て、聞いて、体感して、
私が思い浮かぶようなありきたりなことだけじゃなく、
思いもよらない意見を聞くことができたり、
かなり刺激になった。

「そうなんやー」って感心しっぱなしやったけど、
新しいこと知って、
パァって光が射したって言うか、
すっごい世界が広がった。
日本にいるだけじゃ見えないことがいっぱいやった。

色んな人ともっと知り合いになりたい。
色んなことをもっと知りたい。
もっと知識を広げたい。
もっと自分の肌で感じたい。
もっと自分の幅を広げたい。
もっと体当たりしたい。
ここに飛び込みたーーーーい!!

上海から帰国する頃には、
こんなこと感じるようになってたなぁ。

外国に行くことで、自分の国の小ささを知って、
そこに住んでる自分の小ささを知って、
色んなことを相対的に考えられるようになる。
視野が広がる。

母が台湾人にも関わらず、
今まで私は日本のことしか知らなかった。
小さい頃の台湾での、おじいちゃんやおばあちゃんの思い出もあるし、
何より自分のルーツなのに、
そのことを勉強するなんて、
考えたこともなかった。

今考えたらもったいないことしたな。
中国語喋れるようになったら、
台湾で暮らせるかも知れへん。
まぁ、それは遠い将来の夢やけど。

まずは中国語と、そして視野を広げること。
叔母と叔父の勧めもあって、
中国に留学することにした。

私が大学で勉強してた分野にも関係してるし、
関連する本読んだり、
新聞やニュースを注意深く見るようにしてたら、
最近ようやく、自分の勉強してた分野をちょっと面白いかもって
思えるようになってきた。

叔母の言葉通り、
知識が増えると、面白いと思えるようになってく。

ほんまなら、卒業したら就職して
自立せなあかんねんけど、
留学する気持ちには変わりない。
お金、どうしようかって考えたけど、
もう親に頼りたくないって思ってたし、
死にもの狂いでバイトしまくることにした。
そのバイトももうちょっとで終わり。

上海に留学するつもりやけど、
普通語たたき込みたいから、
ちょっと寄り道で、
先に北京に留学します。

だけど私の目線は上海を捉えてる。
そしていずれは台湾?
それはまだ分からんけど。

とりあえず半年、北京で勉強して、
自分の語学習得度に応じて、
その後の身の振り方、考えます。

ふぅっ(;´・`)
やっと回想終わった。

文字にすると、改めて
色んなことを経たなぁと思う。

気持ちの移り変わりも激しいし。

でも、タイに行くって言ってた時と違って、
今度はちゃんとした動機が
私の中にある。

中国語と視野を広げるため。
そして遠い将来、
台湾と日本を行ったり来たりできるように。

2年半越しの夢の実現か。
なかなか忍耐強いぞ、私♪

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