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ワイヤレス補聴援助システム、の代替手段の話

  1. 今年度のAPD(聴覚情報処理障害)に関する変化

  2. ワイヤレス補聴援助システムって何

  3. 代替品として使えるものはある?

  4. メリットデメリット

1.今年度のAPD(聴覚情報処理障害)に関する変化
今年度に入り、特に学齢期のAPD(聴覚所法処理障害)児をお持ちの親御さんとのやり取りが増えました。

その中でも、今年は特に活用を検討しておられる方が多い印象を受けるのがワイヤレス補聴援助システム、フォナック社のロジャーシステムなんかが有名な商品群です。
機能としては、音声を聞きとりやすく(増幅はしない)することで難聴者やAPDの方の聞き取りを助け、必要があれば補聴器等とも接続ができます。

特にマイク側の指向性マイク機能や、音声を聞きとりやすくレシーバ側で出す事が出来る機能がある事から、学校や家庭での効果があるかもしれないと思う親御さんが多いようです。
実際、試しに装用させてみるとお子様なんが
「これがいい!」
「初めてお母さんが何言ってるかわかった!(実話)」
といったお声が出ているようです。
もちろん、全てのAPDの方に効果があるわけではありませんし、環境調整や他の機器(デジタル耳栓等)の方が効果を感じられる方もおられます。
気になる方は一度耳鼻科の先生に相談して、先ずは補聴器専門店さんで試用させてもらいましょう。

2.ワイヤレス補聴援助システムって何
ただ、この補聴援助システム、決して安い商品ではありません
複数の補聴器メーカーさんが製品を出しておられますが、どこでもマイクとレシーバー合わせておよそ25万円ほどします。
自治体等からの支援があればいいですが、現状でAPDの症状単独で公的支援が出る事は稀です(ゼロではない)
この額をポンと出せない方も多いと思いますので、他に類似した機能を持つ一般家電はないかと思うのは自然な話。

で、他の当事者の方から寄せて頂いた情報として、結論から言えばあります、多少大型化はしますが。

3.代替品として使えるものはある?
その商品はソニーから出ているワイヤレスマイク
「ECM-AW4」
使い方としては、マイク(別売り)と、イヤホンもしくはヘッドホン(イヤホンは一応ついてます)とつなげば、その間を無線で繋いでくれるというもの。
実勢価格としては17000円程度、マイク、イヤホンでどの程度のものを用意するかにもよりますが合計でもワイヤレス補聴援助システムの数分の1の費用で類似した環境が作れる可能性は強いと思います。
ただ、これも良し悪しあるのでワイヤレス補聴援助システムに及ばない点は多々あります、そして逆にメリットも幾らかはあります。
実際にこの機器を学校で使っているAPDのお子さんもおられるそうです。

4.メリットデメリット
先ずメリットです。
「環境を整える為のコストが圧倒的に安い」
「録音可能」
「マイク、イヤホンやヘッドホンを必要に応じて替えられる」
会議用のテーブルマイク、指向性マイクなどと交換して使用できるのでそのような使い方をしたい方には向いているかもしれません。
また聴覚過敏のあるお子様の場合などは密閉タイプのヘッドホンをイヤーマフ代わりに使いたいという声を時々お聞きします。
特に聴覚過敏の強い方の場合は耳栓+ヘッドホンをする場合もあるので、そのような方にとってもはこの機器は選択肢の一つになるかもしれません。

次に考えられるデメリットとしては
「補聴器等への接続ができない」
「様々な機器を繋いで使う事になるのでかさばる」
「乾電池式なので(これ自体はメリットにもなる)頻繁な電池交換の手間が生じる、カタログスペックとしては連続使用時間が3時間
「補聴援助システムよりも理解を得るのが大変になるかも」
「1:1でしか使えない(補聴援助システムは1:多数が使える)」
「マイクの指向性や音質は選ぶマイク次第、ヘッドホン、イヤホンの音質やノイズキャンセリング性能もそちらの製品の性能に依存する」

と言った事が考えられるかなと思います。
特に個人的にネックになるのは
「かさばる」
「電池交換の手間が頻繁に生じる」
「音質は選ぶマイクやイヤホンヘッドホンの性能頼り」

といったあたりかなあという感想、逆に会議などで一日のうち限られた時間しか使わない方にはいいかもしれません、いいイヤホンヘッドホンを買って通勤時に音楽聞いててもいいわけですし。

私自身はまだこれを使ってないので何とも言えないですが、マイクやイヤホンヘッドホンの性能は数千円クラスのものでも十分いいものが手に入ります。
状況が許して、なおかつすぐに必要、でも公的助成は出ないし予算に限界がある、というAPD(や軽度難聴の方にも)の方には一つの選択肢としてはこの製品もアリかな、と思います。

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