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APD(聴覚情報処理障害)の検査ってどんなことするの?という話

*この記事はあくまで、「もしかして自分はAPDかもしれない」と感じている、聞き取りの困難さを感じる当事者に向けて書いています。
関係する分野の専門家の方に対してのものではありません、APDの検査で「これをするべきだ!」といった事を唱える意図を持ったものではありません。
APDはその定義や含む概念に関して世界的な議論があり、絞り込むために求められる検査は多種多様に存在します、専門家の判断に異を唱える意図はありません。


はい、という事で前置きはさておき。
「APDの検査って何するの?お金めっちゃかかったりしない?」という質問をよく頂きます。
確かに研究途中の症状の検査ということで不安ですよね、健康保険利くか心配になるよね、私も心配で問い合わせたからそのお気持ちはよくわかる。

ただ、今回の記事で挙げた検査を全てやるところはあんまりないです。
それぞれの機関の持つ設備、人員、診断を出す先生が何をもってAPDと判断するために必要な検査だと思っておられるか、によってその違いが生じています。
ですので、あくまで今回の記事で触れている検査内容は参考程度に留めてください、「あー色々やらないといけないんだなー」というのが伝わればOK

【ほぼ必ずやるもの】
標準的な聴覚検査
・純音聴力検査(音が聞こえたらボタンを押すやつ)
・語音聞き取り検査(「あ」や「う」が聞こえたらそれを答えるやつ)
・ABR(聴性脳幹反応) ←やらない事もある、脳波で聴こえを調べるもの
・OAE(耳音響放射検査)  ←内耳を調べるもの
・ティンパノメトリー

先ずこの段階で問題が見つかった場合、APDよりも難聴、或いはそれ以外の聴覚障害、オーディトリーニューロパシー等の可能性が考えられます。

【問題がない場合】
・APT(聴覚情報処理検査)
・注意や記憶に関する検査
知能検査/発達特性の検査(WAIS等)
・(小児の場合等)言語検査

といった検査を行い、どのような要素で「聞きとり困難」が説明できるかを検討します。

これらの評価でも説明できない場合
・心理面の検査(SDSなど)や、
行動特徴などのさらなる評価が行われます。

また、APDの症状と脳の働きの関係性を調べる為に
・fMRI(磁気共鳴機能画像法)
を取る事もあります。

それらを「総合して」APD症状と言えるのか、背景に何があるのかが検討されます。

【診断結果からどんなことが提案されるのか】
・環境調整
・補聴機器の使用
・認知的なトレーニング
・必要があれば言語力の向上
・カウンセリングなどの心理的支援
といった、人それぞれ違う支援法が提案されます。


【何回ぐらい通うの?】
開業医の先生に診て頂く場合、聴力検査+問診などの簡易的な検査が行われる事が多いようです。
APTの一部をやることもあるとか。
その場合は一回の診察で診断までが出るようです。
大学病院などの場合は、初診を含めて3.4回は通う事になります。

【費用ってどれぐらい?】

受診した他の方に聞いた限り、一回の通院でおよそ3000~5000円(三割負担)のケースが多いようです。
診断書は別途で2000円程度が必要になります。
トータルでも二万円はかからないと思います(交通費は別)

ここまで書いた内容以外でも「こんな不安がある」「これが知りたい」という事がありましたらお気軽に
ewiglichschnee@gmail.com
までご連絡下さい、分かる範囲であればその週のうちに、分からない事であれば繋がりのある耳鼻科医の先生などに相談して可能な限り対応させて頂きます。
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今回の参考資料
・JOHNS 2021/4月号(東京医学社)
第二回近畿APD講演会の内容(講師:大阪市立大学耳鼻科 阪本先生)


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