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ナガリ書店の話

小学校中学校を通して『金魚ちゃんは図書室の住人』と、通知表に書かれるような子供でした。

【落語】に出会ったのも、【若きウエテルの悩み】に出会ったのも小学校の図書室。

15分休みに図書室の鍵を借りて、昼休みに鍵を返す図書委員をずっとやりました。
おすすめ本の壁新聞を嬉々として作るも、誰にも共感されないw
そりゃ小学生は、【耳なし芳一】は知ってても、【平家物語】は読みゃせん!
「よっぴいて、ひょうやっと射つ!」とか嬉しそうに語ってきたら、気持ち悪いだろうね…。

とにかく本がいっぱいある場所が落ち着くのです。

町立図書館の司書さんが『金魚ちゃんの本のセレクトが(小学生なのに)毎回渋いうえに量がすごい』と母にいつも言っていた。
※田舎あるあるで、町内みな知り合いなのだ。

隣町の高校(創立260年越え)に進学したんだけど、すごく素敵な図書館があった。
1階が視聴覚室と歴史文庫で、2階が図書館。
司書係さん専用の木造でガラスのコーナーが独立してて、その前のバーを通過しないと書架に入れないシステムになってた。
もう当時もかなり古かったもんな。
映画のロケに使えそうなくらい古かった。
大先輩の堺利彦の本も初めて読んだのは高校生だった。

何度も言っているが、私はど田舎の出身で、近隣には明屋書店しかない。
エンタメ本やコミックが多い近所の明屋書店では物足りなかった。

両親は私が本を沢山読む事をとても喜んだ。
なので、それにに伴う「あの本、買って」に両親がためらいが無かったので、新聞広告を見て、近所の文房具屋さんで注文して買ってもらっていた。
そして、その本をいまだに実家から運んで大事に持っている。

小倉には、良い本屋さんがあった。

私が小倉で必ず行く場所が3つあった。
アーケード商店街の中で、子供が行っても迷子にならない。

小倉の魚町銀天街って、実は日本初のアーケード商店街なのですよ。
昭和26年、私の両親(29年生)も生まれてない時代にできたアーケード商店街。

このWikipediaの写真の奥、魚町3丁目にラッキフライデーっていうサンリオ直営店があったの。
1階がクッキーとかパイの量り売りがあって、いちご新聞、文房具売り場で、2階はぬいぐるみとかバックとかエプロンとかで、3階は書籍コーナーでした。
【大きな森の小さな家】とか【赤毛のアン】とか【あしながおじさん】とかも定番もあったし、英語の原書や英語の絵本もあったなぁ。

巨大な風見鶏のマスコットがついた鉛筆や、直営店限定のキティちゃんのノートは、田舎の文房具屋さんには売ってない。
持ち物を盗まれる子っていたでしょ。
私は結構被害に遭っちゃうタイプだった理由は、絶対コレ。
練り消しより、一本480円のド派手鉛筆の方が欲しいよねw

その斜め向かいがソニープラザで、細長い螺旋階段のある3階建てのお店でした。
1階にお菓子が売ってて、我が家は駄菓子は絶対買ってもらえなかったので、ずっとソニプラでお菓子を買ってました。
輸入菓子なら良いってどういう根拠なのかわからないけど、駄菓子と露店のモノは禁止だったのよ。
ソニプラはラッキーフライデーよりちょっと大人っぽいPOPな品揃えで、クリアなポーチとかはソニプラで買ってた。
キラキラのリングノートとかね!
ヘインズのパックTシャツ。
あと、シールと靴下と色付きリップねw

その先が、今回の主役、ナガリ書店。
小倉っ子はみんな通ったであろう、ナガリ書店。
noteで懐かしい写真を見つけてしまった。
記事読んで、懐かしくて、泣きそうになる。

近所の本屋さんにない本が、本当にいーっぱいあるのだ。
電車の時刻表がお店の入ってすぐの入り口側にあって、細長いお店のどんつきにレジがある。

左側が写真集だった気がする。たぶん、エッチな本のコーナーが左側の奥にあった。
その左側にが画集やデッサンの本、カメラの本もあった。

漫画もあったと思う。
1階の右側だったかなぁ。
ドリルとか、参考書、赤本とかもあった。
とにかく縦長いお店に、壁一面に本だらけなのだ。

1階から2階に上がる階段の脇にもビッチリ本が入っている。

ジャンコクトーのポトマックを買ったの、ナガリ書店。
なんか2階はオタクにウケそうなコーナーが死ぬほどあった。
3階は専門書だった気がする。

なんちゃら全集みたいな本がとにかくいっぱいあった。
憧れたなぁ。
※図書館には全集が沢山あって、全巻セットで10万とか聞いていたので、さすがに両親には言えなかったw

私のワンダーランドだったんだけど、高校生になったらとにかく学校が忙しく、デートで本屋さんにも行かない。
高校の図書館が私にはあったから、相変わらず本は読んでいたけど、ナガリ書店に行かなくなった。

いつのまにか、なくなっていた。

ああいう本屋さん、私の人生において絶対に必要だったのに、行かないうちに閉店してしまった。
この写真のビルはもう取り壊されて、新しいビル(もう新しくない)になった。

すごく懐かしいけど、切ない。

そのあと、クエストができた。
クエストも絶妙に物足りない。

小倉だと、喜久屋書店>クエスト>くまざわ書店なんだよね。

博多まで行くと本屋さんいっぱいあるのに。
丸善とかジュンク堂とか楽しいよね。

でも、あのナガリ書店の雰囲気や、ぴっちりつけてくれるブックカバーも、今じゃ絶滅しちゃったタイプの本屋さんなんだろうな。

大きい本屋さんは沢山あるんだけど、圧迫感のあるほど主張がある本屋さんって今はないなぁ。
Kindleが苦手な私は、やっぱり紙の本が好き。

本屋大賞に投票する書店員さんも良いけど、ちょっと怖い感じの専門にめちゃくちゃ詳しい書店員さんがいる本屋さんが日本に残ってるといいな。

ラッキーフライデーもソニプラもナガリ書店も、今は全部ない。
時代が変わったんだろうけど。

でも、本屋さんって大事。
街の文化だ。

私も無人島に持っていく本を決めてみる。
うーん。
なんだろう。

これが欲しいから、全26巻持っていきたいw

憧れの全集を持って、無人島に行きたい。

強欲w

ナガリ書店のこと、少し調べたら、とても面白い会社だった。
有限会社ナガリ書店。
社長さんのお名前とナガリは関係なさそう。
どういう由来の屋号だろうかw

隣の洋服屋さん(かねやす洋品店)の息子さんが、あの丸源ビルのオーナーねw

小倉のあの時代、あの辺をもっと調べたら絶対おもしろいなぁ。

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