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にじゅうしち

27歳。それはぼくのひとつのタイムリミットでした。
別に死にたいだなんて思ったことは一度もありませんが、ロバート・ジョンソンにブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックスやジム・モリソン、ぼくの大好きな偉大な若者の多くが27歳で死んだと言うのですから、ぼくもきっとそれまでに大成を成し遂げ、悔いがないと言い切れる人間になろうと思っていました。

さて、ぼくは今月遂にその27歳を迎えてしまいます。どんなお気持ちかって?お恥ずかしい。悔いしかありませんよ。

前述した彼らには27クラブと呼ばれる悪魔に魂を売ったとされる都市伝説があります。他人の死をネタにものを書くつもりは毛頭ありませんし、ぼくはオカルトなんてこれっぽっちも信じていないのですが、もし仮に今ぼくの目の前に悪魔が現れ、命と引き換えに何か叶えてくれるのなら何を願うのだろうと、この1年ひたすら考えました。ひたすら考えましたが、結局何も思いつきませんでした。

もし今ぼくの目の前に悪魔が現れたのならこう言ってやります。「私は大成を成すことも、富や名声も必要ありません。目の前の小さな幸せの為に貴方様のお手を煩わせるのは恐れ多いので、どうかお引き取り願えますでしょうか。」と。

きっと、ぼくは随分質素でつまらない人間です。

思い返せば無駄ばかりの人生。まるで高層ビルの窓からちりのような人を見るように、傍から見たら可もなく不可もない人生。それでもぼくは無駄が好きです。ちりのように見える人達がまるで夜空の星屑のようにそれぞれに素敵なドラマがあることを、この27年で知りました。大きなことや意味のあることにしか価値を見いだせない人生なんて真っ平御免です。秀でる人、劣るあの子、ひつとひとつの出会いを大事にしたいのです。長い人生の中で、些細なことで泣いたり笑ったり、一喜一憂したいのです。

きっと、ぼくは随分質素であさましい人間です。

今週も読んでくださってありがとうございます。
ありがとう、チャック・ベリー。ありがとう、近所のおじいちゃん、おばあちゃん。

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