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日本の離職率はどれくらい?      高い業界やその理由について

最近、退職代行と呼ばれる、労働者の退職の手続を代行するサービスが改めて取り沙汰されており、それにより、退職時の企業側の対応や労働者の価値観の変化等が再注目されています。
どちらに問題があるとは一概には断定できないものの、企業としては労働者が離職に至る現状、理由についてしっかりと把握しておく必要があります。

①離職率とは?

離職率とは、特定の期間内において、どれだけの従業員が離職したかを示す指標のことです。
厚生労働省の基幹統計「雇用動向調査」の定義に従うと、離職率は下記の式で算出することが可能です。
離職率=離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100(%)
常用労働者とは・・
期間を定めずに雇われている労働者、もしくは1ヶ月以上の期間を定めて雇われている労働者

②日本における離職率の現状

令和4年度までの入職率・離職率の推移
令和5年度までを含めた入職率・離職率の推移(各年上半期)

令和2年度はコロナの影響で離職超過でしたが、翌年令和3年度には入職超過に転じています。令和3年度の入職率14.0%に比較すると、令和4年度は15.2%で1.2ポイント上昇しましたが一方、離職率についても令和3年度の13.9%から令和4年度の15.0%へ1.1ポイント上昇しています。

令和5年度は上半期のみですが、離職率に変化はなく、入職率が0.4ポイント上昇しています。

③業界ごとの離職率(令和4年度/%)

サービス業(他に分類されないもの)19.4
複合サービス事業11.0
医療・福祉15.3
教育・学習支援業15.2
生活関連サービス業・娯楽業18.7
宿泊業・飲食サービス業26.8
学術研究|専門・技術サービス業10.0
不動産業・物品賃貸業13.8
金融業・保険業8.3
卸売業・小売業14.6
運輸業・郵便業12.3
情報通信業11.9
電気・ガス・熱供給・水道業10.7
製造業10.2
建設業10.5
鉱業・採石業・砂利採取業6.3
産業計15.0

宿泊業・飲食サービス業
新規高卒就職者のおよそ6割、新規大学卒就職者のおよそ5割が就職後3年以内に離職してしまうため、非常に離職率の高い業界といえます。具体的には、ホテルや飲食店のスタッフが該当し、離職率が高い理由としては「顧客からのクレーム」「長時間労働や不規則な勤務形態」「低い賃金」などが挙げられます。

・生活関連サービス業・娯楽業
宿泊業・飲食サービス業に次いで離職率が高いのは、生活関連サービス業・娯楽業です。具体的には、理髪店や美容院などが該当し、離職率が高い理由としては「キャリアアップが見込めない」「景気動向に左右されやすく将来性が不安」「体力的な負担が大きい」などが挙げられます。

医療・福祉
医療、福祉業界は労働時間の長さ、夜勤などの勤務形態などの観点から激務の代表的な業界であり、加えてハラスメントやいじめなどの人間関係による離職が高いのも特徴です。
また、看護師は特に、1年以内の離職率は7~10%となっており、恒常的にどこも人手不足の状況で、結果的に一人当たりにかかる業務負担が多くなり、離職につながるという負のサイクルができあがっています。
9割が女性で、結婚や出産などによるライフステージの変化が離職率の高さに繋がっています。

④離職率が高い業界の共通点

離職率の高い業界の特徴、理由から以下の共通点が見えてきます。

1.BtoC事業である
接客業では、様々な背景をもった顧客と毎日接しなければなりません。
本当に「人と接する仕事」が好きでないと、ストレスになってしまうことでしょう。また、個人の消費者の場合、平日のオンタイムだけ対応するということが難しく、残業や休日対応など労働時間が長くなることも理由として挙げられます。

2.給料と少ない傾向の仕事である
離職率が低い、鉱業・電気・ガスなど、インフラ業界の平均年収が340〜360万円(入社3年以内)であるのに対し、娯楽・飲食・宿泊業界は平均年収が240〜250万円ほど。勤務時間が長い上に年収も100万円以上差がつくとなると、離職率が高くなることも頷けます。

⑤離職率を考える際のポイント

離職率を考える上で大切なのが、必ずしも「離職率が高い=悪い企業」ではないという点です。
あくまで割合として算出されますので、従業員の母数に注視する必要があります。

逆に、「離職率が低い=良い企業」ではありません。中には、日々不満を抱え、離職を望みながらも、環境が許さずに離職を決断できないケースや、行動を起こせないほどに疲弊してしまっているケースも考えられるからです。

離職率は労働環境や従業員満足度を図る重要な指標ではありますが、数字だけにとらわれず、背景を含めた分析が必要といえます。

今回は日本の離職率の現状についてのみフォーカスしました。
次回は、離職率を下げる具体的な対策についてご紹介します。

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