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夏とスタンドバイミーと親友と

夏になると思い出す映画がある。
「スタンドバイミー」は、好きな人も多いかと思います。あのリバーフェニックスの代表作でもあります。

僕がこの映画を最初に観たのは、16歳の高校の英語の時間。
視聴覚室で英語の先生が、ビデオ(レンタル?)で
観せてくれた。
映画は1時間半くらいあるから、50分の授業時間では終わらず2回観た。
英語の映画だからといって、英語の勉強になっているわけではなく単純に映画鑑賞の時間だった。
先生もただ観せたかっただけだろう。
でも、いい映画で、早く続きが観たかった。
当時実家にはビデオデッキが無かったので、自分でビデオを借りて観ることも出来なかったから、早く観たくてしょうがなかった。

僕は何に感動したんだろうか?
誰にも似たような経験がある、ひと夏の冒険や秘密めいたところだろうか。
この物語が僕の琴線に触れたのは、「親友はずっと一緒にいるわけではない」ということ。
僕も田舎育ちで、小中学校を一緒に過ごしてきた親友が何人かいた。ずっと親友でいられる気がしていた。
でも高校進学でみんなとは分かれて、次第に疎遠になっていった。
汽車通学で、同じ車両に乗っても話すことはほとんどなかった。自分も、あいつらとは進む世界が違うと思って距離を置いていった。
それが大人になることだとも思っていた。
昔みたいにガキっぽいことはできないんだよと。
高校に進学しただけなのに、急に大人にシフトしないといけないことに、僕は戸惑いも感じていたが
それが通過儀礼のように感じていた。

スタンドバイミーの少年たちも、あの夏の冒険を最後に疎遠になっていった。
映画の中で作家になったコーディは、この親友との冒険を執筆した。そして物語の最後に「あの12歳の時のような友だちはもうできない……」と書いて原稿を閉じた。

僕もいまだに田舎の友人の顔を時々思い浮かべる。
たぶんこの先も会うことはないだろうが、思い出の中の友人たちにはいつでも会うことはできる。
あの当時の姿で。それで良いのだと思う。




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