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藁(わら)メイロン        (シリーズ私のアメリカ横断旅行記)

さて。
これは、英語を喋れないわたくしが、アメリカ横断をした中でのお話し。

英語は喋れないわたくしだけれど、
オレゴン、ポートランド、ロス、ニューヨーク横断してくるうちに
「あら、英語にも「なまり」があるのね。」と気が付くのであった。

オレゴンでは???だった聞き取りが、NYに近づくにつれ随分、聞き取り易くなってきて、つまりオレゴンのなまりは凄かったってことに気付いてさ。

おほほほほほほ。やるじゃん、わたくし!
気づいちゃったか!!
独りほくそ笑む。

が、しかし、「慣れてきた」と思った時に隙ができる。
油断ができる。
落とし穴が、ぽっかり。

NYで街歩きしていて喉が渇いた。
さて、どうしよう。
ああ、あそこのお店に入ろうかな。
レストラン・・・まあ、飲み物だけでも、いいよね?
カジュアルな感じの店だし人、一杯入っているから、ま、色々誤魔化せるよね~~って、入店するわたくし。

視線で「・・・いい?」

すると、男前のボーイが、
「いらっしゃいませ、そちらの席へ」(・・・って言ってくれたと思う)

・・・・

・・・・

待て。

・・・・

・・・・今、何て言った????

・・・・

・・・・

人種の坩堝、ニューヨーク。

オレゴンからNYに向かう内、確かに英語は聞き取りやすく、なってはきていた。
そこは、間違いない。

うん。

だけれども、繰り返そう。
人種の坩堝、ニューヨーク。

ここではいろんな国の人が働いていて、
あう~~!!!そこんとこ、忘れていた!!!

どうやら、男前のボーイは多分、おそらく、イタリア系??
巻き舌で、なんつうか・・・
とにかく、判らない!!!聞き取れない!!!!

どーすんだ、わたくし。

聞き取りが上達したなんて、調子にのっていたけれど
これじゃ、喋れないわ、聞き取れないわの二重苦状態。

なのに、注文しなければ、ならぬ。
だ、誰か、助けて!!

うううう~~~~~。

どうしよう?

どうすんだ??

「May I take your order now?」

注文
注文ね??

と、とりあえず、水分系のものを頼まねば。

コーヒー・・・いや、そうじゃなくて・・・

じっとわたくしを見つめるボーイ。

「つでいず、HOT」

「AH、YEAH」

「あいうおんつウオーターORジュース」

「OH、藁(わら)?」

「藁(わら)??」

「あー、ゆあ、りこめんでーしょん??」
(貴方の御薦めは藁なの?と聞いたつもり)

「YEAH藁(わら)メイロン is very good.」

「・・・OK。藁(わら)メィロン、プリーズ」

もう、この段階で勘の良い方なら、ああ、そういう事ねと物語の結末はお分かりになられることと思うけれど、
わたくしはパニックになりつつも平静な顔を保ちつつ

「藁(わら)メイロン」・・・なんだろう??

でも、ちゃんと「今日は暑い」って伝えたよな。
判ってくれたよな。
何が出てくるんだろう。

メロン味の水???
あ、メロンジュースかな。
なんだろうー。」

それまで賑やかだった店内が急にシンとなって、
皆が、ボーイの捧げ持った皿の上を凝視している。

??????

??????

??????

・・・・!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!

その時のわたくしの気持ちを、想像して欲しい。

銀色のでっかいお皿の上に乘っていたのは、真っ二つに切られた
ス・イ・カ!!!!

なんか安定悪くて、ごろんごろんしてますけど???

レストランとしての意地を見せたのだろう。
スイカの周りには、リンゴやパイナップルが申し訳程度に飾り付けられていて、でも、それだけじゃ、ちょっと、どうかと調理人は思ったに、違いない。

3本の花火。

花火がさー
スイカに刺さっていて・・・・

何?

あれは、何????

レストラン中の視線を集めてそいつは、わたくしの前にやってきた。

うふふふふふ

3本の花火が、綺麗。

・・・・・

・・・・・

・・・・・

花火の燃える香りの中でわたくしは、学習した。

藁メイロン=スイカ

NYレストランの藁メイロンは、小派手。

調子ぶっこいていると、足をとられる。

独りでスイカ半分を食べると大抵の喉の渇きは収まる。

横のテーブルで食事をしていたおばさまがわたくしに囁いた。

「・・・今日は、貴方、何かの記念日なの??」

・・・・・

・・・・・

・・・・・

そう、今日は、わたくしのNY藁(わら)メイロン記念日。

・・・・・

・・・・・

ちくしょ~~~~~~!!!!!


(これまでの事は、 マガジン Let's go TONCHIKI  で。)

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