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宗教二世の私が精神疾患を発症した原因を考えてみた

軽く自己紹介と近況報告

 私は創価学会の熱心な信者の両親の元に生まれて、物心ついたときから宗教の“英才教育“を受け、創価高校にも通いました。しかし、大学生になってからは創価学会に大きな不信感を抱いて信仰をやめて脱会しました。生まれてから絶対に正しいとずっと教え込まれてきたことが信じられなくなったことの衝撃、お世話になった周りの信者の期待に応えられなくなった罪悪感、今までの自分を否定する痛みなど、色々な苦しさに苛まれたことが引き金となり、私は精神疾患を発症しました。精神科の先生には適応障害と診断されています。心も体もボロボロになって生きるのが苦しくて、リストカットや自殺未遂をして周りの人に心配をかけたこともありましたが、今は1年以上抗うつ剤を飲み続け、休養し、なんとか希死念慮も薄れ、毎日研究室に通えるぐらいに回復しました。今自分がなんとか生きているのは、信頼できる精神科の先生と、良く効くお薬に恵まれたこと、自分に理解を示してくれる周囲の人のサポートがあったからだと思っています。ただ正直に言うと、自分が今生きていられることに感謝できるほど心は回復していないので、感謝の言葉はまだ控えておきます。

私が精神疾患を発症した原因

 上に挙げたように、これまで信じていた宗教を信じられなくなったというストレスは精神疾患発症の原因になったことは間違いないと思います。しかし、ある程度回復してきて、冷静に自分を見つめ直してみて、自分が精神疾患を発症した原因は他にも様々な要因があったのではないかと思っています。ここでは、それらの要因について少し整理をしてみたいと思います。

 1つ目は、遺伝的な要因です。実は精神科に通っていることを両親に明かした後に知ったことですが、私の父親は10年間精神科に通って治療をしていたことがあったようです。両親は、子どもに心配をかけないようにずっと隠していたみたいでした。当時は子どもながらになんかおかしいなとは思っていましたが、知った時はかなり衝撃を受けました。うつ病を含めて精神疾患は遺伝的な脳の特性と、高ストレス状態が組み合わさって発症するということを聞いたことがあります。私はもともと遺伝的に精神疾患に罹りやすかったのかもしれません。
 2つ目は、実家が機能不全であった期間が長かったことです。1つ目でもお話ししましたが、私の実家は父が10年間精神科に通っていました。それが原因か、両親はいつもケンカしていたように思います。両親は離婚こそしていませんし、私は虐待を受けたわけでもありません。むしろ両親は子どもになるべく心配をかけないように一生懸命に病気のことを隠しながら育ててくれたと思っています。しかし、長らく私にとって実家は心が落ち着ける場所ではなく、私が親元を離れて創価高校へ行きたいと思った理由の一つは、早く実家を離れたいという気持ちが少なからずあったからでした。
 3つ目は、これまでに教え込まれてきた創価学会の言葉の中に、精神疾患を発症しやすい生き方を推奨するものが多くあったことです。私はメンタルを病んでから、精神科医やメンタルヘルス系のインフルエンサー達のアドバイスを積極的に取り入れるようにしてきたのですが、これらのアドバイスを見てみると、創価学会の言っていることと真逆のことを言っていることが多々あります。例えば、創価学会では全力で頑張るということが勧められることがあります。(多くは会員を布教、選挙活動をさせるための煽り文句だと思います。)しかし、人間の体力には限界があるし、身体が極度に疲労すると心も疲労するということ、そして、極度に心が疲労して精神疾患を発症すると元に戻るまでに大変な時間がかかるということも教えてはくれませんでした。例えば、うつ病を経験した方の言葉に次のようなものがあります。

 また、創価学会では自分のことを犠牲にして他の人のために尽くすことが美徳だと言われることがありますが、まず自分を大切にした方がよいということは教えてくれませんでした。このような声もあります。

  4つ目は、大学の授業や研究、バイトなどを頑張りすぎたことです。発症前は、自分の体力の限界を知らず、平日の昼は大学の授業を受けて夕方から夜10時まで研究室で作業をし、土曜日には8時間バイトをし、日曜日には溜まったレポート課題や家事をするという生活を続けていました。社会人に例えると、ブラック企業で働いている人と同じような状態でした。その結果、身体の疲労が蓄積して心が塞ぎがちになることは想像に難くないと思います。

 以上、私が精神疾患を発症した原因について、自分なりに考えてみたことをまとめてみました。ここに書いたことの中には精神疾患を発症した他の宗教二世当事者にも共通する部分も、そうでない部分もあったと思います。

 昨年にあった衝撃的なあの事件以降、宗教二世の存在が社会の注目を浴び、多くの宗教二世当事者が自らの体験をインターネット上に上げるようになりました。私自身も当事者として同じような境遇にある人に興味があり、様々なブログ記事やSNSの投稿を見る中で、宗教二世の人たちの中には精神疾患を発症した人が多いということ、一口に宗教二世と言っても個々人の体験は様々であるということに気が付きました。人によって遺伝的特性も家庭環境も所属する宗教団体も、周囲の環境も全然違うと思います。そんな中で、精神疾患を発症した宗教二世の一人のケースとして皆さんの参考になれば幸いです。

 最後に、うつ病をはじめとした精神疾患で苦しむ人に向けて、精神科医の藤野智哉先生の「誰にも誇らない人生を」というエッセイを紹介したいと思います。

まとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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