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思い出(すばらしい生徒たち)

長年教員を続けると、忘れられない生徒と出会います。

最近の生徒は、食があまり進まない生徒が大半の様です。
ちっちゃなお弁当箱。フォークを使って食べます。

以前(30年程前)の生徒は、お腹が空いている生徒がたくさんいました。
特に運動部の生徒は、腹ぺこでした!
男子も女子も!

朝、2限目または、3限目の授業が終わると早弁!(「早弁」とは、決められた時間(昼休み)より早い時間に家から持ってきた弁当を食べること。)

4限目が終わると、食堂に駆け込み、定食やカレー、うどんなどを普通にペロリ!

午後の授業が終わると、部室に駆け込んで、早めに着替え。
部活が始まる前に、調理パンやお菓子をペロリ!

部活が終わると、仲間と、学校近くの店でラーメンやお好み焼きをペロリ!
もちろん、学割のある高校生に優しいお店で!

女子部員は、甘いもの屋さん!
今川焼き、お団子や、かき氷、アイスクリームなど。
インスタ映えなどない時代。味と量が勝負!

家に帰ると、普通に夕食をペロリ!
もちろん、ご飯は大盛り!

こんな部活動生がいっぱいいました。

これから、お話するのは、そんな時代のある野球部生徒の話です。

田舎の高校のお話です。その当時、保護者の要望が強く、その学校では生徒全員が毎朝課外の補習授業を受けていました。
第2次ベビーブームの真っ只中。
高校生の大学進学率は、まだ、50パーセントを超えていませんでした。

特に、女子生徒の大学進学率はそれほど高くありません
女子高校生の就職先希望第一は、会社の事務職でした。
定期で市の中心部のオフィスに通勤し、仕事帰りに洒落たお店でお買い物や食事ができることを夢見ている生徒が多かったように覚えています。

第2次ベビーブームになっても、大学の定員はそれほど増えていませんでした。そのため、4年生大学に進学するためには、ある程度の学力が必要でした。予備校や塾が学校近くにない、立地の高校の保護者は、教員に対して、受験に合格できるための学力保障を強く求めていました。

そのため、1年生は英数国、2年生は文系が英国社、理系は英数理が多くの高校で課外(補習授業)として行われていました。

ある日のことです。
その朝課外の授業が終わると、教室最前列の丸山くん(仮称)は、建設現場の作業員が使っているような大型のランチジャーを机の上に乗せて、お弁当を食べ始めました。
当時、高校生の間にも、ランチジャー持参の生徒が増えてきた頃です。
それを見て私は、「丸!さすがに、1限目前は、早弁過ぎないか? 昼間でお腹が持たないぞ!」と声をかけました。
すると丸山君(仮称)はすぐに、次の様に返してきました。

「だって先生。弁当は、出来たてが一番美味しくない。お母さんが心を込めて作ってくれたんだから、一番美味しい状態で食べるのが親孝行だよ!」

「丸!お前は、家族思いの良いやつだな!」

完全に、一本取られました!

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