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買うつもりはなかったのだけれど(4)

それで値切るのだけれど、こちらの希望はかなり非常識な値段である。売主の気持ちを害さないように気を付けなければいけない。
過去に話が決まりかけて流れたことが何度かあって売主は弱気になっているということだったが、だからといっていかにも買い叩くという態度ではいけない。できるだけ下手に、欲しいのだけれど貯えが少なくて…改装の費用もいくらかかるかわかりませんので…といった感じでお願いしたところ、ちょっと効果を発揮しすぎたのか、押し戻されることなくあっさりとこちらの思惑が通ってしまったのだ。実際には売主側の事情もあったようなのだが、なにしろ指値が通ったのだから買わざるを得ない。自分で仕掛けておきながら結果にビックリしたというのが正直なところ。
個人間取引ということもあり、引き渡しまでちょっと時間がかかったが、残置物もほとんどなく、手間のかからない家であった。古びてはいるものの改装しないとどうにもならないほどの部分はなく、まあざっと掃除をすれば古い家に慣れている人ならそのまま使えなくもない状態である。
古民家を買った人の話を読むと、たいがいここで大改装をするようである。畳はすべてフローリングにして天井をぶち抜いて、ついでに薪ストーブを設置なんてのがお約束のようだが、毎日寝起きする家ならばともかくたまに息抜きに来るセカンドハウスである。そこまでする必要はとりあえずなさそう。お金をかけたくないというのもある。まずはボロ家の風情を眺めることとする。

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