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買うつもりはなかったのだけれど(1)

家を買う予定もないのに不動産サイトを検索して「こんな安い物件が」とか「こんな変な家が」とか遊ぶのは楽しいものである。それもスーモとかよりも、自治体のやってる空き家バンクのほうが市場に乗らない、ふつうの不動産屋が手を出さないような、より個性的というか癖の強い物件が多くて面白い。
ちょっと前まではまだ物件の値付けも弱気で、二桁万円の物件もぽつぽつ見かけた。自分でも買えるような値段の物件が並んでいるのを眺めるのは、「どれにしようかな…」と選り取り見取りにえらんでいるようで楽しいものだ。

これ、ボロだけど使えなくはなさそうだけど…。

不便な場所だから引っ越して住むわけにはいかないが、ときどき遊びに行くセカンドハウスなら問題ないんじゃないか。

…などとあれこれ考えていると、使えそうなジャンク品が安く出ているのを見つけた時と同じ感情が沸き上がってくるのを感じる。全然必要じゃないんだけど、買ってみたい…。いらないものなのに、見ると欲しくなるのだ。安く買えて、どういじって遊んでもかまわない、ダメにしてもたいして損にならないおもちゃを手に入れたい。
ただし、そうはいっても安いからといって買ってもその場所に行かなければ使えないのが不動産で、ジャンクPCやジャンクカメラとはその点が大いに違う。
まあ見るだけならタダなんだから、とりあえず現場に行って物件を見てみよう。まったくの冷やかし客である。相手が仲介業者だとちょっと気の毒なのでできないが、商売でやっているのではない、お役所の空き家バンクならまあいいだろうということにして、特に安く出ている物件の内見を申し込んでみた。(つづく)

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