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買うつもりはなかったのだけれど (6)
玄関の土間と座敷との間には障子がたてられている。最初は気づかなかったのだが、その障子の建っている敷居がへんなのだ。幅は一間半、障子は四枚なので敷居の溝は二本あれば足りるはずなのになぜか三本刻んである。
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鴨居にもおなじく三本の溝がある。障子の建っていない溝は長い間使われた形跡がない。しかしこの家を建てたときは必要だったから三本の溝を刻んだわけで、いったいどう使っていたのだろう。売主に詳しく聞いておくべきだった。
ほかにも謎の建具というか部品がある。玄関は二間幅なのだけど、正面から見て右端から一尺くらいのところに薄い柱がはめ込まれ、右側の柱との間は板で塞いである。
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建具はその残りの幅を二等分するよう作られていて、はじめからこういうデザインだったように見える。玄関土間と台所の間の格子戸も同じ構成になっている。どちらも意図がよくわからず、構造の補強になるような柱ではないし、間口をほんの少し狭める理由が思いつかない。
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