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相続登記が義務化されます

前提として

登記とは

不動産登記とは、法務局という官公署(役所)で土地・建物の情報を保管しており、その情報に変更があれば、原則として当事者が登記申請をして変更することになっています。

表題部と権利部がある

土地・建物には、その番号・広さ・種類(用途)などが形状に関する情報記載された「表題部」と誰が所有者で他にどんな権利が付いているかなどの情報が記載された「権利部」に分かれています。
「表題部」の申請代理を専門とする国家資格者を「土地家屋調査士」といいます。一方「権利部」の申請代理を専門とする国家資格者を「司法書士」といいます。

表題部だけ義務

登記申請は、現在のところ表題部のみが義務とされており、権利部については義務化されていません。つまり、権利の登記については変更が生じた場合に登記申請をしなくても罰則はないのです。このことについてもう少しわかりやすく説明したいと思います。

例えば…

例えば、ある土地と建物を購入したとします。そうすると、売主さんから買主さんに権利が移るのでこの所有者の名義を変更する登記申請をすることになります。もし、名義を変更する登記をしないまま売主さんの名義になっていたとしたらどうでしょうか?

法律上は買主さんの名義になっていなくてもなんの罰則もありません。法律の考え方は、
「登記しなくてもいいですけど、それによる不利益は自分で受けてくださいね」というスタンスです。例えば、こんなことを想像してみましょう。
Aさんが自分の名義の不動産をBさんに500万円で売却しました。代金の授受も終わりましたが、Bさんに登記名義を移転しないまま放置していたとします。そこに、Cさんが現れて700万円で買ってくれると言いました。AさんはCさんとも契約し、Cさんは代金の支払いの後すぐにCさんの名義に登記申請をしました。
この場合は、Bさんのほうが先に購入したのだから「自分の方が先だ。登記名義を抹消してくれ!」とCさんに対して言えそうですが、実はこれは先に登記をしたCさんの勝ちになります。これが「登記をしなくてもいいですけど、それによる不利益は自分で受けてくださいね」というスタンスの意味です。
 もちろん、一番悪いのはAさんで、Aさんの行為は犯罪です。これは極端な例ですが、このように登記をしていないことでの罰則はなくとも、不利益を被ることがあるわけです。

相続登記の話に戻ります

権利部が義務化されることになりました

ここで、相続登記についてのお話に移りますが、不動産の名義人が亡くなると相続人がその所有権を取得することになります。ただ、これまで権利の登記には罰則規定が設けられていなかったことから、相続人に名義を移さずに放置されてきた不動産が日本各地に多数存在します。放置すればやがて相続人も亡くなりますから、どんどん相続人が増えていきます。そうなると、もはや誰が登記名義人の相続人かがわからず、登記しようにも収集がつかなくなるのです。このような所有者不明の不動産による経済的損失は全国で6兆円にものぼるといわれています。

令和6年(2024年)4月1日から!!

この事実を受けて、令和6年(2024年)4月1日より相続登記については義務化がされることに決定しています。つまり、相続登記を放置すると罰則規定が設けられることから、
今後はこの相続登記にも関心が集まってくるのではないかと思います。

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