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あんぱん男 

あんぱん男に始めて出会ったのは、小学生になりたての頃。親戚の子のお家で出会った。 

テレビに映るあんぱん男。
私の時代は青い猫型ロボットか、白いおばけが主だった。 

その後もテレビをつければ
あんぱん男。 

その存在は自然と、いつのまにか生活に溶け込んでいた。 
 
ある時、本屋さんであんぱん男に出会った。 
でも何かが違う。 
私が知っているのは、2頭身の子供みたいな
あんぱん男だった。 
本屋さんのアンパン男は6頭身くらいで、
まるで青年。
てっきり、テレビのアンパン男のオマージュ作品かなにかかと思って読んだ。 

顔がない場面は、テレビよりも不気味だった。 
 


作者 やなせたかし 


私が初めてテレビであんぱん男に出会ったのは、その本に出会った時より10年くらい前。
その絵本が原作だと知り、作者のやなせたかしさんはきっと、大学とかを卒業した後に、さくらももこさんのようにデビューしたんだろうなあ
才能があって良いなあと
うらやましく思い、今は35歳くらいかな 
などと勝手に想像していた。   


そして月日がさらに10年ほど経ち、
また本屋さんであんぱん男に再開した。 

その時、あんぱん男の本の表紙には、一人のおじいさんが笑顔で大きく手を振っていた。 

誰だろう??


その表紙のおじいさんが 

やなせたかしさんだった。 


私の勝手な想像だと、45歳のはずだった。 
本には92歳と書いてある。 
何がどうなってるのかが知りたくなった。 


そして、その時の私は自分に起こったショックな出来事にうちの目されており、これからどう生きていけばよいのか迷子になっていた。 

本のタイトルは 

「絶望の隣は希望です!」  

東日本大震災の1年後くらいに発売されており、復興を願うやなせさんのお気持ちが、前書きに書かれていた。 

私は震災にあったわけではない。
また別の理由で、希望なんて皆無だった。 


でも何かヒント、もしくは救いがあるのではと思い、その本を購入した。

今ではもう、ずっとずっと手元に置いておきたい大切な一冊になった。 
 

なぜ、絶望の隣は希望だといえるのか。 

それはやなせさんご自身が、心折れる出来事に何度も出会い、それでも優しい人や予期せぬご縁によって、現在まで生きてこられたことが書かれている。
読んでいるだけで不思議と元気が出てきた。
やなせさんのユーモアがある文章が面白く、時には涙なしでは読めないお話もあって、大好きになった。 

肝心のあんぱん男のこともいろいろとわかり、年齢の謎がとけた。 
やなせさんのデビューは大学卒業後ではなく、そのずっとずっと後だった。 
 

そして私の体は一部、やなせさんと同じようなことになった。
やなせさんとお揃い。 
お揃いって嬉しい。お揃いってなんだか安心。 

どう生きていけばよいのか少しわかった。
 


だからといって、絶望の隣は希望ですよ
なんて軽々しく言えない。 
気安く 大丈夫ですよなんて言えない。 


でも今は、10年前の自分に伝えたい。

月日が経てば 希望が再び生まれて 
少しずつだけど、大丈夫になっていくからと。






ハローキティーのニーチェ

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