一人暮らしをしたい

「最近ハマっていることは?」「普段なにしているの?」という質問には、適当に答えてきた。知らないから。
家にいる間、私は解離している。友人とzoomしたり会ったりしている自分と、それ以外の自分は、全く別人格という訳ではないけれど、記憶が繋がっていないことがある。

高校2年生の冬、今までの親の行為が虐待と認定された時、認めたくなかった。認定してもらうためにその機関に行ったのだけど、やっぱり信じたくなかった。特に性的虐待が認定されることは予想外で、もう生きていけないような気がした。
それでも私は、受け入れて前に進もうとした。父から母へのDVも酷かったから、これを機に何かが良い方向に変わるんじゃないかと淡い期待すら抱いていた。
けれども、母は認めなかった。機関からのアドバイスを受けて、最初の数日こそ父親をホテルに泊めさせたけれど、母は納得していなかった。結局私が寮に入ることになったけれど、数ヶ月で学校に行けなくなって家に連れ戻された。

この時から私は、自分が生きているのか死んでいるのかすら分からなくなったように思う。寮での生活が始まると、夜中に体中を虫が這っているような感覚に襲われて、学校どころじゃなかった。学校は休みがちになったけれど、友達には元気なふりをした。その方が楽だったし、唯一「普通」でいられる学校生活にまであいつに侵食されたくなかった。

家に帰ってから、素敵な家族を演じた。父親とも仲良く話して、虐待のことは忘れようとした。もう、私は戦うことに疲れ切った。そうしているうちに、感情や感覚が鈍くなって、自分が誰なのかよく分からなくなった。

大学生になって、色々と話をこぎつけてやっと一人暮らしを始めた(仲良し親子を演じたのも無駄ではなかった)けれど、上手くいかなかった。尋常でない倦怠感で食事の用意や買い物ができず、親戚から譲り受けた大きい家は掃除しきれないうえに、長年の汚れが蓄積されていて虫がわいた。体はまったく動かない。

記憶を失くしながらも実家に居たいと思うほど、生きる気力を奪われてきた。それでも、帰れる家、逃げられる場所があるというのは私の精神を安定させている。事実、こうやって過去のことを思い出して冷静に書けるまでになった。

一人暮らしが出来るようになれば、新たな段階に進めるのだろうか。

どなたか、偶然この文章を読んでくれた人が応援してくれていたら嬉しいです。

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