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映画ゴールデンカムイを観てきた

はじめに

ゴールデンカムイの映画を観てきた、といっても、公開初日に観ると意気込んでいた割にはダラダラと時が過ぎ、家族にも観せたい、いやでも一人で観たい、との狭間で迷っていた。
子供の調子が悪かったのもある。でも入場者プレゼント配布が始まるその日、家族で映画館に足を運んだのだった。



出会い

恥ずかしながら本作品との出会いは、漫画連載最終回前の全話無料公開時だった。新参ものである。
時折開催される3巻無料公開などで、それくらいは読んでいたのだが其きりで、漫画連載完結記念で漫画好きとしては読んでおこうという気持ちから読み始めた。
そのときの自分をグッジョブしてやりたい。

なんとか期間中に最終回前まで読み終わり、残すは後日公開の最終回一話のみ。あと一話で終わる訳ないのに終わるなら、多分何年後で始まるだろうと踏んで、じゃあこれまでのあれこれは?ともう一度読み返す。読み返して更にもう一度読み返した。

すごいしか出ない。
登場人物が生きている。

後日こつこつとひと月に数巻ずつ集めた。
また読み返しても面白い。
噛めば噛むほど味が出てくるタイプの漫画だ。自分の中の漫画ランキングを大きく塗り替えてしまった。
これは子供には読ませてはいけない気がする。ああ変態とかそういう意味もちょっとはあるけど、こんな良作、若い内に出会っちゃったら、あとで苦労するんでは?という懸念だ。
でも若者は進化する。
この傑作をふまえてさらに大きな作品がいつか出てくるだろう。

実写映画化

そう聞いて、えええ?!嫌!!と思った。
今になって思えば私がハマった時、既にその話は進んでいたのだろう。
でも嫌だ!
経験がある。大好きな漫画が劣化して映像化されるのを。
キャストが決まり、発表があったとき、山﨑賢人氏が杉元と聞いて噂は本当だったのかと嘆いた。
でも激シブ舘ひろしの土方と、玉木宏が鶴見と聞いて、うおお?!と前のめりに。
それから色んなインタビューを読んでいくとスタッフさんやキャストさんに原作ファンが多いのを知る。
さらに原作者野田サトル先生の楽しみにしててねコメント。

期待値が上がった。
もうこれは正座で待つしかない。
公式の噛んだ壮大な二次創作だ!と。

だって二次創作やファンのコスプレなら楽しく観れるのに、実写化はなんで嫌なんだろうと思うと、やっぱり愛が欠けていたり原作ファンのことまで考えていないのが伝わるからなんだと思う。

あーはいはい、この俳優使いたい、売り出したいからこの漫画使ったわけね、ってのが見て取れる。
特に私は少女漫画読みなので、ヒロインよりヒーローのイメージが違うと非常にがっかりする。顔のイメージが違うだけならまだしも、いやそのキャラそんなチャラチャラしてねえよ?!とか、あの身長差がいいのにー!とか。
映画前の予告で『恋わずらいのエリー』をみたけど、んん臣くんの顔は100点満点だけど、チャラオラ過ぎぃ。。
臣くんって、チャラオラは前半(序盤)だけで、エリーという少女漫画に居ないタイプのヒロインに振り回されて照れに照れるかわいい子。そんなかわいい臣くんが見れるのか不明な予告だった。そこ押してこ?
照れ顔は全人類幸せになる。

さて。
一方ゴールデンカムイの映画は、少なくとも、『ゴールデンカムイ』を表現したくて結集させた感があってよいと感じていた。
俳優を漫画に落とし込むんじゃなく、漫画から俳優を仕上げていくイメージ。
どうしても既存の作品にはめこもうとすると、俳優さんのカラー、体型もろもろが噛み合わなくなってくる。結果いびつなものが出来上がる。
一方、原作から沸き立たせていくと、原作からはみ出していいものができる。。。。ような気がする。

いざ拝見

全力で山﨑賢人氏に土下座したい。
実は事前に、山﨑賢人氏は信頼できる、というツイートを読んでいたから、少なくともがっかりはしないだろうとは思っていたが、山崎氏の体型も気にならなかったどころか、よかった。

戦場で戦う杉元はまさに鬼神のごとしだった。塹壕の狭い土壁を二段蹴りで飛び上がり攻撃。
はああ???かっっこよっ??!!えさすがにあれはアクション俳優さん?わからん。でも橇に引きずられるのもやっちゃう位だからあれくらいやっちゃいそう。
そして浴場シーンでは湯に浸かるおじさんと共に手を合わせましたよね。神々しいお体で。本当にいいシーン。肉体美にしても、戦場を渡りきってきたおびただしい傷跡の痛みも。

山﨑氏の見慣れたかわいい尊顔が、軍帽かぶってアクションやピリついた演技をするとき、かわいさが消えて、あれ?山﨑賢人どこ行った?ってくらい人相変わる。まとう空気が変わり、梅ちゃんが分からないのも頷ける。

山﨑賢人のトレーニング稽古も公開されてて感謝しかない。かっこよい。

見どころ

そして一番感心したのが、工藤阿須加氏演じる月島基である。
原作では背も低く鼻も低い、忠実な鶴見の部下である。
だが工藤氏、デカイ!イケメン!180センチあるらしい。
なのになぜだろう、めちゃめちゃに月島なのだ。
あんなに実写化では体型を重視せよと言っていた私がである。

こちらの記事で、工藤氏が一言のセリフを幾度も練習したと書かれている。緊張すると声が高くなるから何度も練習したとか、目を開くとタレ目になるので伏し目がちにするとか。
セリフって、はい、だけ?あったっけほかに?
まとう空気、完全に月島だった。
工藤氏自身、ゴールデンカムイのファンで、更に月島が一番好きだったという。
月島基。自分は救われなかったという空しさと悲しみ、鶴見に付き従う自らの心に膜を貼る、本当は死神になりたかったのかもしれない男。未だにこの月島の心情を掴みきれていない。もっと読み返す必要がある。

そんな序盤の月島は、心情が真っ黒。いや無色透明。命令されれば動く人形のよう。そんな月島が居た、そこに。工藤阿須加の姿を借りて。

さて。このガタイのいい月島を死神から引き離す鯉登は誰が演じてくれるのか?
もう、このキャスティングなら信頼してお任せできる。でもさすがにこの2人の身長差は、せめて同じくらいにはして欲しい。見下ろされる鯉登なんて嫌だ。。。いやアリか?この月島になら見下ろされてもいいか。。

次回新キャスト

映画のラストにキロちゃんや家永、インカラマッもチラッと一瞬出てきてたけど、もう早く続きを見たくてしょうがない。
キロちゃんの池内博之氏よすぎる(;´Д⊂)まんま!
家永やインカラマッの俳優さんは分からなかった。けど怪しげな雰囲気でよかよかーだった!
続編あるならメインキャストは鯉登だろうから、本当に楽しみ。

語り尽くせないけれどもうひとつ。
井浦新のアチャがめっちゃアチャ。ぐうの音もでないほどアチャ。こんな完璧な実写ある?
かっこよっ。。
宇佐美がいた、という話も聞くけど、私もこいつ宇佐美じゃね、っての見かけた。どっかのシーンでニチャアって笑って一団にいた。

こういう、原作好きなら気付くという遊び心もまたいい。


まとめ


あちこちで絶賛されている実写版ゴールデンカムイだが、ギャグシーンだけちょっと違和感があった。ギャグシーンは分かりやすくBGMポップなものにするちかでもいいのかも。杉元と白石が火を起こして抱き合うシーン、抱き合うところが長かった気がする。ああいうのは、漫画と実写で難しい点だなと思う。
漫画はコマの行間を読み手にまかせられるから、このシーンはスピード感あるシーンとか、スローモーションだなとか、。。千差万別、いろんなテンポがあるのだと思う。

映画のラストで桜鍋をつつくシーンがあるが、白石が卵や野菜をご近所さんから貰ってくるというシーン(セリフ)がカットされていた。いや、聞こえなかっただけかも知れないが。。
白石が大好きな、大きなポイント。ちゃんと労働の対価や口八丁で快く貰ってそうだから。

ともあれ、とてもよかった!
ゴールデンカムイは、感情闇鍋ウエスタン。
そういう奇人変人がいっぱい出てくるおかしな人たちの黄金争奪戦、なんだけども、日露戦争で否応なくヒトを殺めて深く心に傷を負った人たちの話でもある。
ヒトを殺すことが正義とされた人たちと、ヒトを殺して囚人になった人たちと、ヒトを殺してもなんとも思わない人が、揺らぎ迷う人の道を惑わすような話。
だから冒頭の戦場シーンがしっかり描かれていてとても良かった。
うわあこれ前の人の銃剣刺さっちゃいそう😨と息を飲むようなエキストラの方たちの人数。あのシーンだけでもずっとみてらいれそう。

この記事をのんべんだらりと書いてるうちに、続編はWOWOWでドラマ放送というのが決まったようだ。鬼滅方式。映画と連続放送、映画、でやっていくスタイル。

おわりに

映画を見終わり、家族の反応は割とよかったように思う。
天邪鬼なので、ここがダメだったという批評はもちろん、ここがよかったという称賛も素直に受けとることができない。
そしてネタバレになるからいろいろも言えない。

続編の放送が始まったら、家族のWOWOW加入の是非を問うてみよう。

ともかく。
実は家族全員で見た初めての映画だった。
イオンシネマ最終上映時間で見たから、映画を見終わり外に出るとひっそりとしていた。
通常駐車場に停めた車までたどり着くのがやけに長く、そして駐車場が開いているかどうかも不安だった。
がらんとしただだっ広い夜の風の強い冬の駐車場を、寒さをこらえて横切って、ぽつんと待っていた我が家の車に乗り込み、家で待つネコのもとへ帰る心地よさは、大事な思い出となった。

映画って観る前後も思い出なんだなあ。

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