ハズレスキル「ピンポンレコーディング」が覚醒した俺、かつてない音圧を手に入れ俺を追放した勇者にオムツを三割増で売りつけた話

「俺勇者。お前、今日でクビな。」
わざわざウンコしてるところにドアを開けて入ってきて勇者はそう言った。
「もうウチ、ヒーラー4人いるしお前の天パ気に入らなかったんだよね。」

コイツは何を言っているんだ。

ここはただのゴブリン動物園で俺はただの飼育員。
しかも今日で契約満了なのにクビもなにもないだろう。
気持ちよくゴールしようとしているところに水を差しやがって。

ただ、気の毒ではある。
彼の生きてきた環境は劣悪だったようだ。
生まれてすぐにキャッシュレス決済が台頭し、後に「AI元年」とされる、人間性における不気味の谷現象を経験することになった。
お天気キャスターにバーチャルアバターが起用され、度重なる放送事故を起こした。
(骨折、ジェンガ、中の人の映り込みなど)
また、不健全図書に対する行き過ぎた隔離政策の影響もあり、彼の背中には「ボボボーボ・ボーボボ」の第三話がまるまる刺青として描かれている。
懲罰の末に地下のドリンクバー工場で一日中コーヒー×パルメザンチーズという悪魔の飲み物を作っこともあるそうだ。
極めつけは彼の名前である。
「ピョコ山ニャン太郎」。
苗字までDQNである。
全てがお察しなのだ。

だいたい、俺はピョコ山に雇われた覚えはない。
この世のすべてを知っているわけでもない。
そこまで傲慢になれない。
本当の愛を知らない。
PCや楽器を買う金もない。
でも、俺にはMDプレーヤーとCDコンポと森田春夫のアルバムがある。
CDと録音機能があれば俺は宇宙だって作れる。
世界中の人間を踊らせることができる。

さあみんな。
WAになってODOろう。