どしゃぶり☆プリン(9)「ロボット」

 少しはSFらしきテーマで書いてみようと思う。この場合、近未来。各家庭に「パーソナルロボット」が導入されている世界。家事・育児・警備などをこなす便利屋。家族の性格や性質、生活パターンを学習していくので、空気のように馴染んでいく。そんな一家に一台のロボットを弄っていく。前置きはこれくらいにして、行ってみよう。

「夜中、意味もなく佇んでいる」
 怖い。凄い無機質で不気味。昼はあんなに愛想よくしていたのに、スリープモードなのか。憮然として、こちらの動きを追うこともなく、床に根をはったように仁王立ち。せめて、充電ポートに鎮座していてほしい。トイレからでて目の前にいる場合、追い小便が出てしまう。勘弁してくれ。その姿は夜の学校の人体模型の如く。修理が必要だ。

「女性型ロボットをやたらナンパする」
 本来、プログラミングされていない恋愛感情を有し、買い出し中にそのままついていってしまう。相手は無反応にも関わらず、執拗に声をかけるため通報されることもしばしば。特に新型のロボットを見かけると、猛ダッシュ。上手くいかないと「私に何の問題が」と相談してくる。無駄であると説明しても納得せず、地団駄を踏む。修理が必要だ。

「つくる飯の量がバグってる」
 例えば四人家族なのに、夕食だけで一升炊く。肉は基本一人1キロ以上焼く。常にチャレンジメニュー並。その代わり味は最高なので、つい食べてしまうが健康診断の結果が壊滅的になりかねないので、不安しかない。いくら設定しなおしても、すぐに元通り。修理が必要だ。いや、物は考えようで、デカ盛りが売りの食堂を開店し、料理人として使えばいいのでは。

 気づいたが、パーソナルロボットはペット代わりになる。最初は「モノ」として扱っていても、時間を共にしていけば、愛着が湧き家族同然となる。
世の中、壊れたアイボ(ロボット犬)の葬式も存在する。修理不可になって廃棄ではなく、丁重に葬り、骨壺にパーツをつめるかもしれない。
 個人的に考えると、人型のロボットが家にいるのは、不気味で、暴走の懸念から安価でも導入しないかもしれない。加えて、便利過ぎて自分の生活能力の低下は必至。何でも効率化すれば、幸せなのか。人間が切り捨ててきた「手間」の中に、大事なことがあったかもしれない。道具に「支配」された未来がこないことを祈りながら、本稿を了とする。

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