駅がなくなっていた。どこにもない。 駅がないということはどこへもいけないということか。 ああああなんと。駅がない。 そこにいた星みたいな人に声をかける。 「駅はなくなってしまったのですか?」 「えきなんてものは最初からなかったでしょう」 「駅ですよ?舞う、とか、食う、とか、笑うとかたくさんあったじゃないですか」 「それは動詞だよ、えきとは言わないよ」 「えぇ。動詞じゃないですよ。駅の名前です。寝るとか踊るもあります」 「私の知る限りでは駅ではなく動詞というものだよ」 何
大丈夫って聞かれても困るから爆発したら骨を拾って 出生時に死んだ片割れを思い出す。そんな人はいないんだけど。 砂漠砂漠砂漠砂漠にしか行きたくないのに飛行機が怖い 縦型でよかったドラムだと山にすらなれない服たちが泣く たまにくる生まれたら死ぬなんてことが怖い夜 それが今日だった まったくの他人が優しくてなきたくなって夕方の川になる
靴下を履いた 私の部屋のなかで 生成り色をした履き口のゴムのゆるんだ レース編みの私の靴下を履いた ソファのオットマンに腰かけて 私の右のくるぶしを私の左の太ももに折りまげて 靴下を履いた ゆるやかな履き口は私の両足首をしめることなく ただ、最初からそこにあったかのような力で肌になじみ 靴下に靴下をさせている 靴下の中にわたしの輪郭が生まれる 布と肌とどこまでも一つにはなれない レース編みの隙間から私の肌色が見える 気が付いたら20時で 私が行った確かなこと 靴下を
存在するかもしれない 湖のくにから友達が泊まりに来た。 彼女はS美ちゃん。 S美ちゃんはかわいい。S美ちゃんは面白い。S美ちゃんは優しい。 そう思う。でもどれも私の感情には当てはまらない気がしてならない。 彼女とは仏のいるところで出会い、複数人で楽しく話す仲だった。 同じゲームにはまったことをきっかけに、二人でも話をするようになった。 好きになるキャラクターはいつも正反対だった。 好きになるキャラクターは自分と似ている人であることが多い、 という説がある。 この説をい
存在するかもしれない 家賃7.3万円は見栄を張った選択をしてしまったかもしれない、と最近思い始めた。 上京4年目。土日休みの会社員。 今日はお休み。 体がだるい。毎日だるい気がする。 大人になってから快活な日はないのでは。快活クラブに行っている人が快活ではないのと同じ。 学生の頃の俊敏さが思い出せない。 お休みと言っても今日は日曜日。 朝はチーズの蒸しパンを食べる。蒸しパンはほぼ空気。 なのに味付けはこってりしていて重い。 ちぐはぐ。 昼は友達と遊ぶ約束。 昼といって