最近の記事

存在する駅

駅がなくなっていた。どこにもない。 駅がないということはどこへもいけないということか。 ああああなんと。駅がない。 そこにいた星みたいな人に声をかける。 「駅はなくなってしまったのですか?」 「えきなんてものは最初からなかったでしょう」 「駅ですよ?舞う、とか、食う、とか、笑うとかたくさんあったじゃないですか」 「それは動詞だよ、えきとは言わないよ」 「えぇ。動詞じゃないですよ。駅の名前です。寝るとか踊るもあります」 「私の知る限りでは駅ではなく動詞というものだよ」 何

    • 存在したかもしれない短歌

      大丈夫って聞かれても困るから爆発したら骨を拾って 出生時に死んだ片割れを思い出す。そんな人はいないんだけど。 砂漠砂漠砂漠砂漠にしか行きたくないのに飛行機が怖い 縦型でよかったドラムだと山にすらなれない服たちが泣く たまにくる生まれたら死ぬなんてことが怖い夜 それが今日だった まったくの他人が優しくてなきたくなって夕方の川になる

      • 私が行った確かなこと

        靴下を履いた 私の部屋のなかで 生成り色をした履き口のゴムのゆるんだ レース編みの私の靴下を履いた ソファのオットマンに腰かけて 私の右のくるぶしを私の左の太ももに折りまげて 靴下を履いた ゆるやかな履き口は私の両足首をしめることなく ただ、最初からそこにあったかのような力で肌になじみ 靴下に靴下をさせている 靴下の中にわたしの輪郭が生まれる 布と肌とどこまでも一つにはなれない レース編みの隙間から私の肌色が見える 気が付いたら20時で 私が行った確かなこと 靴下を

        • 存在するかもしれない日記20/32

          存在するかもしれない 湖のくにから友達が泊まりに来た。 彼女はS美ちゃん。 S美ちゃんはかわいい。S美ちゃんは面白い。S美ちゃんは優しい。 そう思う。でもどれも私の感情には当てはまらない気がしてならない。 彼女とは仏のいるところで出会い、複数人で楽しく話す仲だった。 同じゲームにはまったことをきっかけに、二人でも話をするようになった。 好きになるキャラクターはいつも正反対だった。 好きになるキャラクターは自分と似ている人であることが多い、 という説がある。 この説をい

        存在する駅

          存在するかもしれない日記20/22

          存在するかもしれない 家賃7.3万円は見栄を張った選択をしてしまったかもしれない、と最近思い始めた。 上京4年目。土日休みの会社員。 今日はお休み。 体がだるい。毎日だるい気がする。 大人になってから快活な日はないのでは。快活クラブに行っている人が快活ではないのと同じ。 学生の頃の俊敏さが思い出せない。 お休みと言っても今日は日曜日。 朝はチーズの蒸しパンを食べる。蒸しパンはほぼ空気。 なのに味付けはこってりしていて重い。 ちぐはぐ。 昼は友達と遊ぶ約束。 昼といって

          存在するかもしれない日記20/22