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読書感想文8(科学でわかる男と女の心と脳)

麻生一枝(2010)科学でわかる男と女の心と脳,ソフトクリエイティブ(株)発行


私の疑問

 男女の関係とは、損得勘定を元に成り立つのか?愛だけがあればいいのか?そんなことはない、結婚相手または長期のパートナーを考えると、男性は経済力が、女性は肉体的な魅力がモノを言うという身もフタをないことがこの本には書かれています。ズバッと言われると納得しますね。「自然淘汰による進化」を元にヒトを観察してみましょうというのが本書の目的だと私は思います。

 ちなみに離婚してもお金の関係はきれません!
 なぜなら、現在の結婚制度は、「内助の功」と言う謎の概念が存在し、結婚して同居してたら、少なからず家庭内で何かしらの手助けはあったんだからということで、収入の多い方が少ない方に離婚後も生活費、子供がいるなら養育費の支払いが法律で義務付けられているからです。詳しくは、「損する結婚、得する離婚」という本を読んでください。
 参考までにAmazonのリンク貼っておきます。
 だが、そんなリスクを取っても、結婚したい!恋愛したい!という人がいるそうなので(知らないだけかもですが)、男女の行動原理に興味ができたのです。

 ちなみに私は、恋愛は見る専(ヘタレともいう)です。恋愛系のラノベやアニメ、ドラマを見るたびに主人公とかモテるやつは大変だなぁとしみじみ思っております。たらたらダラダラ恋愛してみたいですねぇ笑笑
 理想を言うならアニメ「徒然チルドレン」の香取先輩ポジが面白くていいですね。
 あとは、ドラマ「逃げ恥」展開も捨てがたい。、

本の説明 

 この本は科学的な統計データや研究データを元に、男女のあれこれを述べている。
 この中で興味を持った内容が、

1.男と女の違いは平均の違い
2.男はなぜ結婚するのか?、
3.結婚相手に求めるもの「なくてはダメ」と「あったらいいな」
4.男も女も自分自身の市場価値に見合った相手を選ぶ
5.パートナー繋ぎ止め戦術
6.犯罪者のほとんどは男
7.相手の意思や合意にもとづかないセックスはレイプ
8.脳の性差を男女差別や固定観念を結びつけないで
9.性分化の仕組みと性同一性障害、同性愛

本の目次より

以上の9つとなります。
 この本は全5章の構成となっていますが、気になったところを抜粋して、感想を述べます。
あらすじや目次は各電子書籍サイトの試し読みでご覧ください。各項目は2ページ程度で書かれているのでサクサク読めると思います。
上記、1.2.3の感想を述べていきます。

1.男と女の違いは平均の違い。

 "この本でいう男女差は、あくまで平均の差ということで、「男は必ずこうだ」「女は必ずこうだ」という絶対的なモノではない"ということと述べている。
 男女の地図を読む力を研究した人たちGlea &Kimura(1993)によると、地図を読んでAからB地点に行くのに、男性の方がかかる時間が短く、女性の方が長かったというのがわかった。 しかしあくまで平均の違いである。科学者に平均が違っていれば、男女差があると結論するが、さっさとゴールする女性もいれば、ゆっくりとゴールする男性もいる。
 このように男女の平均に差があっても、男女の間で大きな重なりがある場合がほとんどだとのこと。
 これを見て私は、目から鱗が落ちた。最近何かと話題のSDGsでは、男女差別をなくそうという目標を掲げ、いろんなところで差別発言の規制が厳しくなっているが、そもそもそれが、文化的な差別なのか、生物的な性差なのかというバックボーンに触れずにとやかくいうのは違うと思っていた。
 根本的な原因が違うモノを一緒くたにして同時に解決しようとするのは甘いの考えである。たまに、同じ方法で解決できるものもあるが、多分稀だろう。
 たとえば、生ごみとプラごみはどっちもゴミだから、同じ燃えるゴミに入れていいよねえといって、一緒に焼却施設に運ばれると、プラごみは施設内で完全燃焼されず、有毒ガスと掃除しずらい焦げつきを発生させる。いや、元が違うのになんで一緒に入れたん?みたいなかんじである。
 ちなみにある温度以上で燃やせば有毒ガスも発生せず、プラスチックも完全燃焼してチリすら残さないそうだ。焼却施設が高性能な自治体はプラごみも燃えるゴミも一緒の袋に入れて出す。
 著者は、動物行動学者として、「生物学的説明と善悪は別物、男女差と優劣も別物」と述べている。動物個体の究極目的は、生き残り、子を作り、自分の遺伝子を次世代に残すこと。浮気や虐待、子殺しをした個体が、それをしない個体よりも多く個体を残せたのは事実ではある。しかし、それは善悪の判断とは別だし、男女の優劣を判断するものでもない。差を優劣と結びつけないでほしいと著者は述べている。

2.男はなぜ結婚するのか?

 朝から満員ラッシュにあいながら、それでも妻子を養うために頑張っているお父さんたちはすごいと著者は褒め称えています。
 なんと、このヒトの男の妻子への献身度は、ほ乳類の中では例外的なんだそう。ほとんどのほ乳類のオスは子育てに参加しない。ではなぜかというと、理由の一つとして、「献身の証しを示さないと、セックスできないから」
 セックスだけ求める男たちは、何人の女たちの長期テストを次々受けるだけで、せっくすできずに終わったのでは?それに対して、結婚を約束した男たちは長いテストを無駄に受けるよりも、多くの子を残されたのではと著者は述べている。
 私の意見として、この頃は、ヒッピーやパパ活、援助交際など、セックスのハードルは下がっているようだが、どれも子作りを目的したモノではなく、エンタメや生活費を工面するための仕事としての側面が強くなったようにおもう。セックスだけ求める男たちにはいい時代になったのかもしれない。ただ子供は増えないが。
 もう一つの男が結婚する理由として、隠された排卵問題の解決策と著者は述べている。結婚相手を独占していれば、いつ妊娠可能かわからなくても子を成せるからというのが理由だ。ヒトの排卵が隠されているかは、2010年時点ではまだ議論されているそうだ。

3.結婚相手に求めるモノ

 アメリカの心理学者が行った2002年の面白い実験を著者は紹介している。
 男女の魅力的な特徴を、「肉体的魅力、独創性、ひとあたりのよさ、就労意欲、知性、性格のおもしろさ(性格の興味不足)、愛情、ユーモアのセンス、仕事以外の特技、年収」の10個に分けて、20ドルと60ドルの予算があった場合、男性は女性に、女性は男性に、どの魅力に予算をつけたかを調べた。
 この結果によると、低予算の20ドルの場合、男性は、女性の「肉体的魅力」に、女性は「年収」に多くの予算を費やし、男女共にその次に「知性」を挙げている。つまり、女性は男性に「経済力」、男性は女性に「肉体的魅力」を「なくてはダメ」と考えており、男女共に「知性」も「なくてはダメ」と考えている。収入の維持、子育て、緊急時の対応などの社会生活を営むには「知性」が必要だからである。ちなみに「知性」は遺伝で決定することなので、男女で共通の魅力なのは当然ではある。
 昭和の結婚全盛期には、「男は愛情、女は度胸」という言葉が流行っていたらしいが、そんなものはまやかしであるというのが結論づけられた。
 この実験で高予算の結果の場合は、特に男女には見当たらなかったようだ。必要なものが揃っていれば、男女の魅力などは考えず人は生活を謳歌できるのかもしれない。

まとめ

 まとめとして、最近の研究で、私たちの脳は1万年以上前から変わっておらず、さらに子供の成長には、遺伝と周りの環境が多く関わっており、頭の良い人から頭の良い子供が育つかどうかも50%くらいということがわかったそうだ。
 私が紹介した3つの後には、家庭内暴力や子殺し、浮気やカジュアルセックスの生物進化的理由が書かれているが、現在DVや浮気に苦しまれている人には申し訳ないが、結婚滅亡時代のこれからには、あまり関係がないのかもと思った。
 だが、男女の大きな平均差はあるとしても、極端な差異ではないこともわかったので、シェアハウス等の共有空間が増えて、新しい家族の形が広がっていく可能性も見えた。
 子育てに必要なものはお金ジャーと言っていろんな財政策を練っている政府には、結婚という「今は昔」の制度にもメスを入れてほしい。
 そして、男がモテるためには、知性と金が必要なようなので、もっと本を読んで知性を鍛えて、お金を稼ぐために頑張ります!

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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