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〇第55回議論「『歴史総合』の『問い表現する活動』に対する提案」(報告者 「歴史総合」研究チーム )


第55回は「歴史総合」研究チームから「『歴史総合』の『問いを表現する活動』に対する提案」としてご報告いただきました。


問いを表現する活動とは何なのか、現代と過去をどうやって行き来すればよいのか、を踏まえて「国際秩序の変化や大衆化と私たち」の単元で、何をテーマにして、生徒たちにどのように問いをつくらせ、どう進めていくか、単元構成の手順や実践例を紹介していただきました。


その後、特定の問いを生徒が設定するように仕向けることについてどう考えるか、現代的諸課題の解決策を構想する際の事例研究となるように歴史学習の内容を構成することについてどう考えるかについて議論しました。

【以下、議論】
・問いの種類は他にもあるのか?→過去に向けた問いと現代に向けた問いの2種類を出させることをねらって授業を実施。
最終的には現代の問いを考えるが、そのためにも過去に向けた問いを出させる。

・概念的活動がポイントなのか?→問いをもつことは、「もやもやがあって考えたい」と思うようなものという課題意識があるので概念的活動になった。


・フェイクニュースを通して大衆化を理解するのはわかるが、国際秩序の変容については何かあるのか?→矛盾する概念を組み込んだ現代の課題であればいいので意識はしてなかったが、トランプ大統領のときのフェイクニュースはロシアが行ったという話題もあったので深彫りすれば関連してくるかもしれない。


・問い自体にレベルはあるのか?現代に着目してるかどうかが判断基準?→問いにレベルがあることは教えてないが、「なぜ」という問いは多かった。
レベルは教えてなくてもいいと思える問いはいっぱいあったので生徒を信頼してやらせてみてもいい。
子どもに、この問いいいですね、のフィードバックをするとそれを参考に出てくるのでフィードバックは大事。

・公民ではできないのか?歴史でフェイクニュースを扱う意義は?→過去を学習しながらも常に現代を意識させ続けると、公民?みたいな声は出てこないのではないか。


・単元の見通しを立てて、授業を組まれているのが素晴らしい。生徒が立てた問いが歴史の中で学びに繋がっている。

・問いを仕向けることについて全員賛成。ある程度方向づけないと深い学びにはならない。


・狙った問いを出させることは、みんな自然とされているのではないか。問いが散るかもしれないが何も狙わずに出させてみるのもおもしろいかもしれない。

・もうちょっと歴史的なものの見方考え方が表れる展開がいいかもしれない。その時代の歴史的構造をおさえたい。現代との差異がもっと明確になり、歴史の中で編み込まれてきた課題がみえる。


・歴史を事例研究で展開するのは歴史を教訓にしていく要素もある。注意点は過去の限界性。似たような事例があったとしても本当に今後その通りになるとは限らないということをわかったうえで未来を考える必要がある。

・事例研究を扱うことはよい。教科書から離れていくことに不安を感じる生徒がいること、入試対応になっているかどうか、などが問題点として考えられる。


・公民では現代がわかる最低限になってしまうが、過去の類似の事例をいくつも挙げて考えられるのが歴史学習でこそできること。より深く、多面的な学びになる。


・地歴公にまたがる学習はよい。兼ね合いは難しいが社会科で連携しながらできるのは理想。

・子どもたち自身が自分で考え、問いをつくることは意義がある。しかし、何が出てくるかわからないのは教員として非常に不安。問いをつくらせる場をどう作っていけばいいのか、子どもたちに教えるべきことをどう保証していけばいいかのバランスが大事なのではないか。


・情報操作のテーマはどうやって引っ張ってきたのか?テーマを引っ張り出す方法を共有できたら各学校の文脈に応じた歴史総合ができていき、実践を聞くのがもっと楽しくなる。

・パフォーマンス課題を文章化できる生徒や白紙で出した生徒などいろいろだったようだが、どうフォローしていくのか→実習で現場に帰っている期間内ではパフォーマンス課題までさせるのは難しい。引き続き出来ていればフィードバックしながらフォローしていく。


・生徒の問いに対して即時にフィードバックできる力があるのは羨ましい。


・ICTについてはデバイスのスペックとインフラの状況でかなり授業時間に支障をきたすこともあるので、生徒の書いたものを共有するなどの使い方から進めてみるといいかもしれない。

参加者27名

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