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〇第58回議論「『深い学び』を目指した歴史総合の授業の実践」(報告者「歴史総合」研究チーム )


 第58回は「歴史総合」研究チーム から「『深い学び』を目指した歴史総合の授業の実践」という題でご発表をいただきました。


報告者は兵庫県内の公立高校にてお勤めで、歴史総合と政治経済を担当されております。


そこで今回は授業の理論と研究授業での様子を中心にお話しいただきました。


まず、鈴木宏昭氏の『私たちはどう学んでいるか』という著書より「知識は伝わらない」、「構成主義」についてでした。


「相手からの情報、その記憶が知識となるためには、それらの素材を用いて知識として構成していかなければならないのだ。構成するのはもちろんあなただ。…知識というものは『属人的』なのだ。」
(鈴木宏昭『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』より)


つまり、学び手自身の環境に合わせながら知識を構成できているか、自分の感覚に合わせて身につける、それが深い学びではないでしょうか。


さらには、学習者による知識の構成が、社会的な関係性における相互作用によって起こるので、「対話」の重要性があります。


ここからは実際の授業、ジグソー法のやり方をお話しいただきました。

とりあえず話してくれ、自分の考えを持ってくれという形でアプロ―チします。


「深い学び」をどう見とるか。


ICAPフレームワークというものもご紹介いただきました。


また今後の課題としては
・「学習課題」の質を高めるための教材研究が必要


・「グループ+プリントの問い⇒自然に対話が深まる」ではない。
(その場に応じて対話を深めるための追発問が必要)


・「深い学び」の評価はこれでいいのだろうか。

・「方法論」だけでなく「目的論」もしっかり研究したい。
(何のためにその内容を学ぶのか)という点をあげました。

私たちも参考になる課題でした。
ブレイクアウトルームでは・・・・
①生徒の学びが「深まっている」と感じるのはどんなときですか?
(何をもって「深い学び」とするかがはっきりすれば、指導方法・評価方法もみえてくるのでは?)


②①を踏まえたうえで、日々の授業ではどうやって生徒の学びを深めようとされていますか?についてでした。 


【以下議論】
・Twitter上でも議論がありますが、なぜ?という問いにジグソー法は妥当でしょうか?「ヒトラー政権下で人々は当時の政治をどのように評価したのか?」という問いで,生徒間で意見が分かれる方がその後の議論が盛り上がるのではないか?

・授業プリントでは各資料が全員に渡される形になっていますが、生徒からすると部分を担当分けして埋めるような感じでしょうか?
そうだとすると、ジグソーが活動の時は生徒たちはどこにそれぞれの班の情報をまとめたり班の意見を構成したりするのでしょうか?

・学びを深めるとよく言うが、「高次の学力」「学力を高める」というhighという視点。これらは違った方向性だ。


・1つの資料にどれだけ時間を割くのか。個人差があるから、みんな一緒で自由に参加し、読み取りできる子できない子が一緒になってできる。
それがジグソーの良いところ。

・講義形式主体の授業の時代から「アクティブラーニング」という言葉がはやった。

しかし、それに対する批判から「深い学び」が目指された。

多面的に考察するためにもジグソー法は良い機能を果たす。

どれだけ問いの本質に迫れるか。また、どれだけ問いが大事かがわかる。


・ジグソー法はどのような問いに合致するのか。やはり、それは「論争型」が良いのでは。


しかし、ジグソーの難しいところはただの足し算で答えを出させたくない。

・勝手に話が始まったり疑問が出てきたときに深い学びができているのかなと思う。


・提示されたもの以外にも話が派生したり、考えが及んだ時。

・このような手法を取ったときに、最後10分ほどで、落としたいところへ持っていくのか?それとも何もなしでフワッと終了か?


・自分事にして考えることが出来たら理解度は深いのでは?

・生徒同士で問いあうというグループワークでのルール作りが重要ではないか。

・話はできるが文章にすると難しい。国語的な力も問われる。


・社会というものは存在せず、脳内に存在するというように、構成主義がどれほど大事かがわかる。

・生徒たちがどのように解釈していくのか、教員自身が何を教えたいのかがないと上滑りしてしまう。

・考えたいと思えるような問いが用意されているかどうか。


・資料以上のことにどのようにしてたどり着くか。
参加者20名

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