家族でケーキ屋に行くのは難しい。

ケーキ屋さん事件。
それはこないだ実家に1泊した時、起きた(卵焼き事件のことも書いたけど、たったの2日間で事件起きすぎ。コナンかよ)。

家族で夕方にスーパーへ買い物へ行く前に、私が「久しぶりに甘いもの食べたいなぁ」とつぶやいた。

コロナ禍で好きなケーキ屋さんの閉店時間が早まっていて(元々は日付が変わる前に閉まる)、夕飯を食べてから帰ったら間に合わない。
しかもその翌日、そのケーキ屋さんは定休日。

スーパーに到着する。
かといってスーパーに売ってる甘いものはなぁと悩んでいた。
でもしょうがないし、「まるごとバナナにしようかな」と母に伝えたら、母もケーキが食べたいと言った。

まじか(私に合わせてくれたのかな?)。
でももう夕方で、「コロナ禍だし、ケーキ屋さん開いてるのかなぁ、あそこのケーキ屋さん(以下A店)、開いてるかな?」と母が言う。

父が「A店は駐車場が狭いから嫌だ」と言う。

なるほど。
時間がないから、「ふたりが買い物をしている間に私が開いてるケーキ屋さん調べるね」と別行動にした。

ベンチでスマホを睨む。
ここから近くて、美味しくて、開いてるケーキ屋。
A店はちょうどスーパーの近くに別店舗(以下、A'店)ができていた。
商業施設内にあるから駐車場は何百台も停められる広さ。
ちなみにA店はたしか3台くらいで本当に狭い。
だから、これなら父も母も納得できると思った。

一応、他にも候補を調べておいた。
もう一店舗、子どもの頃食べたケーキ屋(以下、B店)が開いてた。

買い物から帰ってきた母に調べた結果を伝えると、「A'店、そういえば新しくできていたわ!あそこなら駐車場広いしいいね」と乗り気。

しかし、ここで事件が起きる。

父、何故かA'店も嫌がる。

「はぁ?!」と母と私。

あなたがA店は嫌だと言うからA'店わざわざ探したんですけど?!

と心の中で驚く。

意味がわからない中、「B店もあるよ…?」と私がふたりに恐る恐る言うと、父も母もB店は美味しくないと言う(ちなみに父はケーキを食べないから父にケーキの味なんぞ関係ない)。

ここで母がイラッとして、「私が運転するからA'店行くよ!!!!」とツカツカ早歩きしだし、父はポカンと黙る。

私が「この人(父)、まじありえねぇ」と心の中で呆れながら、私も早歩きをして母についていく。

そして後ろからついてくる父。

あぁ…これがうちの家族だ…と思い出した。

どれだけ速度を出してもゴールド免許の母がキレながら車のスピードを出す。
こえ〜(笑)
そういえば、約160km先にある、私が大学時代に住んでた街に母は片道3時間で来たことがあった。
ちなみに高速バスでは片道5時間半かかる。
おかげで私は車に乗るのが苦手だ…。

音速でA'店の入った商業施設に到着し、華麗にバック駐車をし、何も言わずに車から降りる母と私。

降りた途端、「まじで意味わかんない!」とぷんぷん愚痴り合いながら、早歩きでケーキ屋さんに入る。
ケーキをどれにするか悩む母を見て、「1泊させてもらってご飯も食べさせてもらったし、私が買うよ。2つ選んで、1つは明日の朝にでも食べたらいいじゃん」と声をかけた。
母は喜んで2つ選んだ。

車に戻ると母は、「○○ちゃん(私)が買ってくれたの!ご飯食べさせてもらったからって!」と喜んで父に伝えた(恐らく、父はここでほっとしただろう)。

それから母は少し機嫌が戻ったのか機嫌を戻さねば雰囲気がやばいと私に気遣ったのか。
家に着いてから「ケーキは冷蔵庫に入れておこうか」と母に確認すると、「夕飯の時、一番最初に2つ食べるから出しといて」と嬉しそう。
にこにこして「やっぱここのケーキ屋さんおいしいわぁ」と母。
事なきを得てほっとしたけど、久しぶりに懐かしい冷や汗をかいた…。

そして今日、母に誕生日プレゼントを渡すためにランチをした。
いろんな話をする中で、段々母の話題は父のアスペルガーの話になる。

「あの時のケーキだって、お父さんがA店は嫌だっていうからA'店にしようってなってたのに、意味わかんないしイラッとした」と。

そういえばと、「過去に2人、自閉っぽい男性に会ったことがあるんだよ」と私は話し始めた。

「街中なのに、その人たちは道を知らないのかなんなのか、変なルート通るんだよね。それにお父さんと一緒で、何故か人と足並み揃えて歩けないの※。その日はモヤモヤしただけで終わったんだけど、次の日もモヤモヤするから文字に書き起こして考えてみたら、あれ、道のこだわりがあるから道知らないんだってピンと来たの」と続けて話す。

※父は物凄く離れて後ろを歩くから人混みでは必ず迷子になる。お祭りに父を連れていくと父が迷子になるから父とお祭りに行けない(思い出すとめっちゃ笑えるけど、当時は夫婦喧嘩に発展して幼い私は怖かった)。私が知り合った2人は道に迷いながらふらふらと私のずっと前を歩く。私は小走り。で、結局道に困ってその人たちは足が止まる。見かねた私が恐らく通りたいのであろう道を推測して、そっと道を教えてみると黙りこくってからまた歩き出す。超疲れた。

「あ〜〜」と母。

「だから、お父さんもあの時、道にこだわっていたんだよ。それでお父さんはA店もA'店も行きたくないって言ったんだよ。あのA'店が入ってる商業施設ができたの最近だから、道のイメージがつかなかったんだよ」と話しながら私もピンと来た。

そんで、ありえねぇ〜と思ってたら笑えてきてしまった。
そんなに広くないカフェだったから、笑い声を控えめにするのに必死だった。

私は大学で特別支援教育を専攻して高機能自閉症の卒論を書いたから、なんとなく推測できたのかもしれない(推測が合っているかは知らない)。
それでも私はその2人に会った時、すぐにモヤモヤを解消できなかった。
発達障害を知らない時代を生き、3冊くらい発達障害の本を読んだ定型発達の母にしてみれば、そりゃあず〜っとモヤモヤしているのだろうし、イラッとするのは当然とも思える。

「でも、そういう人って純粋に想ってくれるし、信頼できるよね」と母に話すと、「うん」と満足そうに頷く。
お父さんのそういうところがお母さんは大好きなんだ、やっと気付いた?、と言いたいけど言いたくないといった顔をしていた。
言いたくないのも分かりますわ。

呆れるけど、一周回って笑えてしまう父。

心の底からふたりに離婚してほしかった子ども時代のことを書くのはやめた。

今日は楽しい日でいようね。

声をあげて笑ったり泣いたりしながら書いたnoteでした。

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