ネカフェという犬小屋

「ネカフェという犬小屋」


こんばんは。 犬のハルです。
ある程度の覚悟を持って犬になったものの、いきなり野宿もアレじゃないですか。 そうそう、アレですよね。(どれ?)
なので人間時代から繰越した僅かな所持金で「1週間パック最安値」「犬OK」なネカフェを検索してINしています。 まぁ「犬」の方は交渉次第です。 人間時代の身分証があれば大体通ります。 というか「犬なんですけどいいですか?」と訊くと「???」な顔をされます。 きっとルーキーの吾輩には まだまだ犬感が足りないのですね。

そういえば吾輩も人間時代にネカフェでアルバイトをした経験があります。

泥酔したサラリーマンの大きく音割れしたイビキ、朝の止まないアラーム音 等で勃発する喧嘩。

両耳にちゃんとヘッドホン付けてるのにモニターから差し込みが抜け落ち、AV鑑賞している事を大音量で周知してしまうおじさん。 音漏れしている事を伝えに行くと「うっ、うわぁぁっ!どうなってんだ!おい!何で線抜けてんだ!?コラ!」ってむちゃくちゃ怒られたけど コッチが聞きたいよ。

最長時間パックを延長、延長、また延長の延長で店に棲みついている謎の爺さん。 偶にブースを覗くと、そこはもう異臭を放つ立派なゴミ屋敷。 爺さんが退去した際は誰が部屋の清掃に行くのか? 命懸けのジャンケンが始まる。 時給9百数十円のバイト中に生命を賭けてジャンケンするバイオレンスあります?

A4サイズの申し送り帳には、昼勤のアルバイト大学生と夜勤の根暗なおじさんとで醜い言い争いが繰り広げられている。 だが彼等が交代時にスレ違っても決して口論になる事はない。 むしろ挨拶を交わす事すらない。 まるでネット社会の匿名希望者達の様に 文章だけで殴り合う。

業務用レトルトカレーに炒めた玉葱を入れて2時間煮込めと指示する社員。 いやいや、そこまでやって完成品として此処に売られて来とんねん、そのカレー。

最も印象的だったのは、ラブホ代をケチってペアシートを利用するカップル達。
けどな、吾輩が働いていたネカフェにはところどころ防犯カメラが設置されていた。 ブースによってはレジ背面にあるモニターで監視、いや、鑑賞する事ができる。
案の定 おっ始めた2人の情事に見入っていると、後ろから「おい!おい!おい!会計!」とヤンキー客が吾輩を呼ぶ。
「うるせぇな。今1番いいところなんだよ。」と吾輩は背中で答えた。
翌日、店にクレームが入り吾輩はクビになった。
あいつ等 今でも元気にレトルトカレーを煮込んでるかな。


P.S.
明日ネカフェを出て行きます。
ほねっこ代を恵んであげようかなって方からのDM、愛の告白DM、お待ちしております。
昨日の記事を見て千円を送金してくれた優しいフォロワーさんが居ます。 さぁ、皆んなで犬を可愛がって育てていきましょう。

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