制度があるなら、どんどん使いたいんです―みんなそれやったら社会持たんぞ

公務員の職場で、先輩が取った電話に、こんな内容の問い合わせがあった。

「私はこういう経済状況にあります。
制度があるなら、どんどん使いたいんです。
使える制度を全て紹介してください。」

案内はできるんだけど、わたしも先輩も、「制度があるなら、どんどん使いたい」という言葉に引っかかりを覚えていた。
確かに、制度を使うことは悪いことではない。
でも、「使うために制度がある」のではなくて、「困難な状況の助けとなる/もしくは利とするために制度がある」のだから、
使うこと自体を目的としちゃいかんだろと。

例えば、わたしの叔母がこんな話をしていた。
「同級生で、『こどもを、無料のこども食堂に連れて行ったから食費が浮くわ。あなたも使えばいいのに。』と言ってきた子がいる。
でも、その子も旦那さんも共働きで十分な収入はあるはずで。
なんで収入あるのにこども食堂を利用しようと思えたのか、同級生の気が知れない。」
これも、「金銭的にしんどいからこども食堂使います」じゃなくて、
「そこにこども食堂があるし制度は利用できた方が楽だからこども食堂使います」になってるから、まかり通ってるわけで。

大学の時のわたしの知り合いにも、こんな子がいた。
「大学生協のパソコンの故障無料サポート期限が、残り1ヶ月で終わっちゃう。ここからは有償になってしまう。
パソコンもこれまで結構使ってしまって、新調したいから、
故障を自作自演して無料で新しいのに取り替えてもらう。

これ聞いたとき、思わずフリーズしてしまったよ。
「故障無料サポートがあるもん」ってそういうこと平気でやる人がいるから、大学生協のパソコンの値段はあんなに吊り上がって、新入生を苦しめるんだよ。まじで。


「制度があるから、実は困ってるわけじゃないけどせっかくなら使いたい」
⇒制度利用者の増
⇒行政サービス、会社サービスに費用が足りません
⇒税上げます、サービス料取ります

この流れが本当に納得いかない。
税もサービス料も、全員にある程度等しく課せられているもので、間違えても「あなたずるいから2倍ね」という徴収の仕方はされない。
真面目な人が損する世界というのは、こういうことだと思う。

かといって、わたしがずるくなれば損はしない話なんだけど、
「ずるくなりたくない」はあくまでわたしの選択であり、
だから損するのは自業自得って論も成り立つよね。皮肉なもんだい。