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居心地が悪いクラスで1年間耐え続けた中学3年生のわたしへ

決していじめられたわけではないし、
楽しい人にとっては楽しかったクラスなんだと思うんだけど、
わたしがあのクラスを思い出す時の空の色は、いつも灰色。
そんな灰色の世界にいる9年前のわたしへ。

「時が解決してくれる」
よく担任の先生が言っていたし、その言葉に間違いはない。
だからこそ、あなたが選ぶ「ひたすら耐え続ける」という道もある意味1つの正解だと思うけれど、みんなを信じられなくなる前に、勇気を出して誰かを信じられていれば、もっと違っていたのだと思うよ。

普段から【仲が良かった子】は元転校生で友達があまり多くなかった。
そんな中、わたしだけ【自分勝手な子】—嫌なことは何でもわたしにさせようとする子に捕まって、虫の処理とか先生に交渉しに行くとかやらされていた。自分が耐えればいいや、と思うと歯向かえなかった。
それだけならまだわたしの問題だけれど、さらに【仲が良かった子】と話すだけで【自分勝手な子】にイヤミを言われるようになった。
「オブリガートって、あの子には話しかけるのに私には話しかけてくれないよね」

そして、【自分勝手な子】にわたしが依存されている間は当然、
友達の少ない【仲が良かった子】はクラスで孤立するようになる。
それを見た先生からは「あの子(【仲が良かった子】)を孤立させないで」とわたしが怒られる。
だけど【仲が良かった子】に話しかけに行っても、【自分勝手な子】に割り込まれて、【仲が良かった子】をますます傷つけることになる。

さらに分が悪かったのは、うちのクラスの謎の共同体精神。
「遠足は、クラスの女子全員で一緒に食べましょう」
「文化祭は、クラスの女子全員で一緒に出し物をしましょう」
いわゆる一軍の子は提案するだけして、絶対、孤立気味の【仲が良かった子】へのフォローもしなかったし、【自分勝手な子】には話しかけることすらせず全部わたしを介してやり取りしてた。
その時点で絶対仲良しこよしじゃないよね。
仲良しじゃないなら、やる意味なくない?
なんで一軍女子の自己満足に付き合わされなきゃいけないの?

と思いながら、ひたすら笑顔を装っていた。

そんな日々を送っていたわたしは、どんどん狂っていった。
遠足のお菓子交換で揉めるのが嫌すぎて、お菓子は「分けることができない」リンゴ1個を持って行った。
自分が給食当番の時に移動教室の荷物を誰に預けるか問題で揉めるのが嫌すぎて、本来誰かに預けるべきところをリュックを持参して自分で荷物を運んでいた。
昼休みに誰と喋るかで【自分勝手な子】に恨まれたり、【仲が良かった子】と話していないことで先生に怒られたりするのが嫌すぎて、昼休みはいつも無人の理科室に自習用具を持って1人で逃げ込んでいた。
卒業アルバムの寄せ書きは【自分勝手な子】に1文字も書かれたくないくらいに嫌いだったけども、「他の子は書いてるじゃん」とわめかれるのが嫌すぎて、もう「敢えて誰にも書いてもらわない」スタンスを取ることにした。
全部全部、自分が折り合いをつければいいと思っていたし、
そうするしかなかった。
卒業式の前日、先生も生徒も一軍女子も【自分勝手な子】も、みんな泣いていたけど、「仲良しこよしのフリしてただけで何で泣けるの?」の思いが強すぎて、心底このクラスを嫌いになった。
誰も助けてくれなかったくせに

あなたは、とても我慢強いし、我慢をすればするほど「あの時、あれだけ頑張れたんだから」って信じれるようになって、どんどん強くなっていった。
今のわたしを形成している忍耐力も、あなたが頑張った賜物だと思う。
【仲が良かった子】には本当に悪いことをしたと思うけれど。

けれど、あの1年は、
「頑張れば耐え続けることができた」1年であると同時に、
「誰も信じられなくなるのに十分な期間だった」1年でもあった
ただひたすらに依存する【自分勝手な子】、
「彼女から逃げられないのはわたしの悪い優しさ」と非難する先生、
とにもかくにも傷つけてしまった【仲が良かった子】、
そういうクラスの汚い面を見ないフリして建前の「みんな仲良し」を楽しんでいた一軍女子。
誰1人として信じられなくなったあなたは、高校進学後もしばらくは「友達なんていらない」と自分の世界に閉じこもってしまうことになる。そして、1つの時代を無駄にする。

自分が歪んでしまう前に、怒っても良かった。
「依存すんな、自分でやれよ」
「じゃあ先生がわたしの立場なら、どう上手いことやるんですか?」
「本当に仲がいいなら、全員と話せるはずだよね?」

でも、どうせあなたのことだから、感情的に怒ることなんてできないでしょう。
それなら、誰かにそんな状況を知っていてもらう、それだけでも心の救いになったんじゃないか。たとえ、問題が解決できなくても。人間不信に陥る前に。

「時が解決してくれる」
時は、確かに、あの居心地の悪いクラスとわたしを引き裂いてくれた。
【仲が良かった子】も高校に進学して、楽しい日々を送っていた。
けれど、解決する前に、自分が狂ってしまっては元も子もない。
時を待てなければ、誰かが助けてくれるのを待てなければ、
自分で自分を助けるしかない。
勇気を出して、誰かを信じてみるんだ。