噂って怖いな!—誰がほんとのこと言ってるんだろ

同期の友人が退職した。
その友人とわたしは研修の部屋が一緒だったこともあり、共に朝日を見て、共に職場の話をして、彼女からは県外の遠距離彼氏の話をされた仲だ(共にの流れやろ、そこは)(相手いないんだからしゃーない)。
でも、その友人は、わたし含めほとんど誰にも退職することは言ってなくて。みんな職場の一斉通知で退職の事実を知った。
せめて、悲しい退職じゃないといいなって願ってた。

運のいいことに、わたしは退職直前の彼女を、たまたま職場で見かけた。
「おはよう!やめるってほんと?」
いきなり本題につっかかる奴、今考えるとうざいな。
「おはよう。そうなんだよ。あんな形でお知らせすることになってごめんね。ほぼ誰にも言ってなくて。」
「うわーほんとだったのか、ショックやな…」
「転職先も似たような職場だし、県内にはいるから!またいつでも声かけて!」
「うん!元気でやるんだよ!」
多分、1分にも満たない会話だったし、ほんとに大したこと言えなかったんだけど、でも直接最後に彼女と話せて良かったなと思った。


さて、本題はここから。


舞台は、GW直前の―彼女が辞めてしばらく経ったころ。
わたくしは、別の同期の友人たちとご飯に来ていた。
「△△ちゃんも、辞めたらしいな~」
彼女の名前が出たので、うんうんしていたら。
△△ちゃん、県外の彼氏のとこについていったんでしょ??
やるなあって思ったもん。

???????

ちょっと待て。
彼女は「県内にはいる」「いつでも声かけて」と言っていた。
噂では「県外の彼氏についていった」ことになっている。
え?どっちが正しいのこれ??

彼女が、県外の彼氏についていったことを悟られたくなくてわたしに嘘をついたか。
噂が、「辞める」と「県外の彼氏がいる」の2つの事実が合わさって、1人歩きしてしまったか。どっちなんだろう。
でもきっと後者。彼女は、嘘を簡単につくような子じゃない。
だとしたら、噂って怖えな…。

「愛の力はすごいねー!」と盛り上がる友人たちに、
「県内って言ってたんだけど!」って割り入る気力もなく、
それでも、不思議そうな顔は隠すこともできそうになく、
「噂、やるなあ…」の表情で話を聞いていた。