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本日の為替変動の捉え方

本日は日本の祝日の中、為替が激しく変動しました。
10時半ごろに1ドル=160円台をつけ、
13:00過ぎからは一転、急激な円高で155円台前半に、
その後、少し円安方向に売動きましたが、
16:00すぎから、また急な円高になり154円台に入っています。

今日は遠くまでウォーキングをしていたのですが、途中、外国人の友人からも頻繁にメッセージが入りました。

「日銀はなぜ介入しないの?」

「介入のレベルを決めているのかと思ってた」

など質問攻めで、何度も立ち止まって返信しました。。。

GWに旅行中の友人もびっくりしている感じでしたね。
円安は旅行コストにも直結するので「介入して!お願い!」って感じです。

なんといっても、日本は祝日なので、事業会社からの実需の取引はありません

市場参加者が少なく、売買が少ない中で、まとまった注文が出ると、値動きは激しくなりやすいのは当然です。

FXなどでもロスカットが出たのではないでしょうか。

この動きは、ロスカットの動きを誘発しようとしているとも考えられます。
その後の円高も、かなり強引なので、為替介入かもしれません

実際に介入によるものだったかは、財務省が5月末に発表する「外国為替平衡操作の実施状況」で分かります。
それまでは日銀の当座預金残高見通しなどを基に推測することになります。

最初の円安への動きは、先週金曜の日銀金融政策決定会合後の会見で、植田総裁が円安について「基調的な物価上昇への影響は無視できる」との認識を示したことが、「円安容認」と受け止められた、という説明が妥当でしょう。

金曜のNY時間に158円台をつけたのも驚きだったと思いますが、
今日は商いがない中、一気に160円台前半にまで動いたので少しパニックだったと思います。

外国人の友人から介入に関して聞かれたので、少し介入のプロセスを説明すると、
為替介入の実施を判断するのは財務省で、介入の実務は日銀が担います。
このため介入に関しては鈴木財務大臣や、介入を行う場合の責任者である神田財務官の発言が注目されます。

財務省が円買い介入の指示を日銀に出せば、日銀は即座に国内外の銀行に対してレートチェックを行い、円買い注文を出します。

介入は政府・財務省・日銀が緊密に連絡を取りながら行いますが、日銀は介入の判断には関わらないことになっています。

また、銀行のディーラーには「介入が入った」という情報には守秘義務があるため、すぐに介入が伝わるわけではありません。

このGW中に何らかの仕掛けがある可能性はあるため、それなりの備えはあったかもしれませんが、事業会社も多くが休みなので、東京での為替の取引は激減しています。
そんななかで日銀が大量の円買い注文を銀行に突然発注するのはなかなか難しい、160円への円安の仕掛けはそれを見越したものにも見えます。

もう一点、この動きで注意したいのは財務省の介入判断は為替レートの水準よりも、変動の速度や大きさだという事です。これを彼らは繰り返し言っています。
外国人の友人に返信したのは、このことで、この週末から今日にかけての動きは、
まさに「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が変化しない中での急激かつ投機的な円安」だということです。
したがって、円買い介入が入ること自体は何の違和感もありません
財務省の神田財務官は、市場で政府・日銀が為替介入に踏み切った可能性が取り沙汰されていることについて「今はノーコメント」と述べ、「今は作業中だ」ともコメントしています。

ところで、為替に関しては、様々な解説が行われるでしょうし、予想も出て来るでしょう。

ただ専門家の話を聞くときに注意をしてもらいたいのは、専門家の予想は方向性と値幅のイメージでしかないという事です。

つまり、水準に関してはあまり意味がある数字として聞かない方がいいというのは注意してください。

私が知る限り、為替がなにで動くかということは理論的に言えても、実際の為替変動を説明出来ているものはない、と理解しています。

株式の価格というのは、将来のキャッシュフローが完全に予測できれば1つに決定されるという前提に話を進めます。ところが、為替はその様なものがない。

この前提にたって、為替の話は聞く必要があり、明日になれば全く違った話になっている可能性を意識しながら、反射神経で動く。

でも、反射神経をよくするために、それを動かしている様々な理論については一通り理解しておく必要がある

そんな世界だと私は割り切って捉えています。

それにしても、今回は昨日の経済ニュースの記事でも書いたように、投資家のポジションがかつてないほど大きくなっています。分析はかなり難しいですね。。。

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