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禁断の「朝スタバ」に潜入する

 本日は予定外の仕事休みとなった。今月残業しすぎたので勤務時間調整のため、数日前に急に決まったのである。

 せっかくいただいた休日を有効活用したいので、一日の目標を立てることにした。

(1)創作小説の構成(起承転結)をある程度完成させる
(2)図書館で情報収集
(3)数週間分の家計簿入力

 (2)は先週テレビ放送された『耳をすませば』で、やはり図書館で創作に関する情報を集めていた雫に触発された結果の目標である。ネットでいくらでも調べられる時代だが、雫を見てアナログも悪くないと思った。

 幸いにも自宅から徒歩圏内に図書館が存在する(なのに引っ越してから5年間一度も使っていないという……)。図書館といえば月曜に休館するイメージだが、なんとこちらは月曜も第1・第3を除き開館している。ラッキーである。開館は9時半なので、それまでにカフェにでも行って(1)を執行しようではないか(自宅では作業に集中できない人なので)。

 しかし、図書館近くのカフェで朝から開いていてWi-Fi完備となると、1店舗しかなかった。


<<< スターバックス >>>


 平日の朝からスタバだと!? ただでさえお洒落なカフェなのに、仕事や学校前にわざわざ立ち寄る人なんて、ブラックコーヒー片手にMacBookをポチポチしている意識高い系しか居ないのではないか?(※完全な偏見です)。私みたいな非モテの低収入男にとっては禁断の領域である(※違います)。

 他プランも考えたが決まらないまま朝6時。開店まで1時間を切った。もう行くしかない。36歳童貞が勇気を出して「朝スタバ」への単身潜入を試みる。

 至急、舐められないための準備を始める。シャワーを浴び、歯を磨き、髭と眉毛を剃り、鼻毛も抜く。普段の仕事でも着ないスーツとワイシャツを引っ張り出し、久しぶりに着用する(夏なので上着は省くがネクタイはしっかり締める)。埃にまみれた革靴も磨き、とりあえず身だしなみはOK。おっとハンカチも忘れずに。マスクは1枚78円もする少し良いやつにしよう。

 あとはデジタル端末を何にするか。普段使用しているノートPCはMacではなくWindowsだし(※問題ありません)、15型と大きくて重いので断念。ならばタブレットPC。こちらもWindowsだが、大きいノーパソよりは見栄えが良いだろう。これとモバイルバッテリーをビジネスバッグに入れ、準備完了。

 5分ほど歩き、まずはセブンイレブンのATMに寄り、PayPayをチャージする。お洒落カフェに現金支払いは似合わない(※そんなことありません)。

 そして朝の7時3分。緊張がピークに達する中、いよいよ決戦の地・スターバックスに恐る恐る潜入。店内には既に3人の先客が。出遅れてしまった。戦いはもう始まっている

 数分後、私の前に並ぶ30代ほどの女性がレジにて注文。ここで目を疑う光景が。

「最近涼しくなってきましたよね」

 なんと店員のほうから彼女に話しかけている。まさか朝スタバの常連!? 平然と注文しているあたり、数々の歴戦を乗り越えてきた勇士なのだろう。

「お待たせいたしました」

 女性店員が私に話しかける。いよいよである。ずっと耳まわりに装着していた骨伝導ワイヤレスヘッドホン(※ただのカッコつけアイテム)を首にかけ直し、何度も練習した注文を落ち着いて声に出す。

「アールグレイティーラテのグランデ、シロップ半分のオールミルクでお願いします」

 よし、噛まずにゆっくり言えた。実はこれ、声優・伊藤彩沙さんのオススメをカスタムも含めて丸パクリしたものである。これは朝にピッタリの絶妙なチョイスだと思う。ありがとう、あやさ。

 しかし、ここで安心したのは油断だった。

「お会計540円です」

「PayPayでお願いします」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」

 そう言うと店員はキッチンでカップなどを用意し始めた。ちょっと待って、PayPayってどっち? アプリのバーコードを提示して店員がそれをスキャンするのか、それともQRコードにスマホをかざして読み取る方式なのか。どちらなのかを店員が言わないので分からない。後者の可能性も考慮し、落ち着いて店内を見渡しQRコードを探す。見つからないから前者確定で良いはず。自分を信じろ。

「お待たせいたしました」

 来た。店員にアプリのバーコードを見せる。すぐに店員はバーコードリーダーでスキャンし決済完了。正解だったようだ。

「バーカウンターの前でお待ち下さい」

 最近のスタバは目印の赤いランプが無いのでバーカウンターを自力で探す必要があるのだが、私はものの2秒で見つけた(※先客が待っているから簡単です)。しかし、そこで待っている間も油断はできなかった。

「茶葉抽出のために少しだけお湯を入れてもよろしいでしょうか?」

 何それ、私に聞いているの? とりあえず「はい」と返しておく。最初は意味を理解できなかったが、先ほど私がオールミルク(=お湯なし)と言ったからわざわざ聞いてくれたことに気付く。想定外の事態にも落ち着いて対処できないと戦場では生きていけない(?)。

 いよいよ商品を受け取ると、窓際のカウンター席に座る。鞄からタブレットPCとスタンドホルダー、ミニキーボードを取り出しセッティング。電源を入れ、Wi-Fiに繋ぎ、ブラウザからNolaにアクセス。

自分が映り込んでしまう

 いいねえ。なんとなく様になっている。せっかくのタブレットなのにスタンドに差してキーボードを繋いだら普通のノーパソと大差ないじゃんという突っ込みは無しでオナシャス。結局キーボードあるほうが楽なんです許して下さい。

 作業環境が整ったところでアールグレイティーラテを一口。想像の5倍は美味い。シロップ半分でもほのかな甘みは残っているし、甘さを抑えた分紅茶本来の味が活きる。オールミルクでまろやかさが増しているのも良き。

 いよいよ骨伝導ワイヤレスヘッドホンで(強調)音楽を聴きながらNolaに起承転結を入力していく。途中、Wi-Fi接続が切れてしまい再接続するも、Nolaの画面が固まり焦る。文章が消えないか心配になったが結果大丈夫だった。どうやら一定時間を過ぎると自動で接続が切れてしまうようなので、こまめに保存したほうが良さそうだ。

 そんなこんなで途中スマホを見て休む時間はあったものの、当初真っ白だった起承転結は9時20分にはここまで書けていた。恐るべしスタバ効果。

快適な環境のお陰かストーリーも浮かびやすい

 これにてスタバ滞在は終了。戦場から無事脱出した私は次なる目的地、図書館へ向かう。続きは次回。


 ちなみに、私の2席隣には「MacBook」と「iPad」を広げ「iPhone」をポチポチする男子大学生が居た。おい、ガチで居たじゃないか、意識高い系が(※そうとは限りません)。


(つづきはこちら)


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