見出し画像

風邪が長引いている

 約10年ぶりに風邪を引いてしまった。

 私は社会人になりたての数年間、暑い日も寒い日も、雨だろうが雪でさえも一日中外に居るという過酷な労働環境を経験することが多く、その甲斐もあってか免疫力MAXの強靭な身体を手に入れていた。

 それでも社会人になってから風邪を引いた記憶は2回だけある。1回目は社会人2年目の新聞配達をしていた頃、喉の痛みが何日も収まらなかった。のど飴やヨーグルト、ジンジャエールなど、本来効くはずの飲食物を接種しまくったが一向に治らず、病院で薬を処方してもらったらものの1~2日でケロッと完治した。

 2回目は社会人6~7年目くらいの冬。咳と怠い感じが主な症状。この時には既にコンビニで店長をしていたが、何度もウォークイン(飲料バックヤード)に逃げ込んでは冷気を浴びて凌ぐほどに辛かった。

 いずれの時も仕事を休むことは一切しなかった。私の中で「風邪くらいで仕事に穴を開けてはいけない」という意識が強かったのだ(男は特に)。インフルエンザと忌引き以外では如何なる理由でも休んではならない(今はコロナもあるから風邪でも慎重に動かなければならないが)。

 ***

 そんな私が社会人になって3度目の風邪を引き、仕事終わりに病院に駆け込んだのは4月28日のことだった。喉の痛み、咳に鼻づまり。数え役満である。気温の乱高下攻撃に耐えられず、とうとう強靭な身体は約10年ぶりの敗北宣言をした。先客多数につき診察を受けられたのは2時間以上も後だった。喉が真っ赤であることは確認され、念のため抗原検査とPCR検査を受けることに。前者はすぐに陰性と判明されたが、後者は翌日の12時以降にならないと結果が分からない。不安を募らせたまま隣の薬局へ。検査結果待ちの患者は店内に入ることすら許されず、インターホンで店員を呼び出すシステム。処方が完了するまで20分以上かかっただろうか。当然辺りは暗く、少し肌寒くなっていた。待っている時間さえも不安だった。

 翌日の昼にweb上で検査結果を見たら陰性だった。ようやく胸を撫で下ろした。しかし、試練はここからだった。


――1週間以上経っても完治しない――


 そして今に至る。

 ここまで治りが遅いとは全くの想定外だった。社会人以降の過去2回の風邪は病院で処方された薬を飲めばものの1~2日でケロッと元気になっていた。それが今回、5種類もの薬を飲み続けたのにも関わらず、鼻づまりは相変わらずだし咳もまだ時々出る。何より薬の副作用で眠くなりがち。仕事終わりに家に帰ると1~2時間もしない内に寝落ちしてしまう日々。noteの投稿も創作コンテストの執筆も止まってしまった(※ラジオも今週はお休みさせていただきます)。2回の通院と処方箋で6000円以上も費やし、加えて週1ペースでしていたタイミーバイトも自粛しているのでお金の心配もし始める。

 全然楽しくない。これまでは無慈悲な現実と逃げ場所のnoteを行ったり来たりすることで何とか心の平穏を保ってきたが、そこに罹患の2文字が加わるだけでここまで楽しくなくなるとは。約10年も無かったからこそ、いざ風邪を引くと久々すぎて精神の安定を維持できなくなってしまう。否、この程度でこうなるのなら、元々大して楽しい人生では無かったのだろう。


 ネガティブなことを色々考えてしまう一週間だった。もう二度と風邪は引かん。この先は暑くなる一方だし、寒暖差さえ無ければ大丈夫……のはず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?