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【2/5~2/11の週記】虚構推理短編集岩永琴子の純真/ビブリア古書堂の事件手帖/マグダラで眠れ

・今週頭、東京は雪が降った。天気予報は先週から見ていたが、どうせちらちら舞うぐらいだと思っていたので昼過ぎから本格的に降り始めて軽く引いた。この頃ほとんど毎日散歩やジョギングに出ていたのだが、さすがに記録は中断せざるを得なかった。

・猛烈に雪が降り積もっている間、「明日は朝から新雪を踏みにゆこう」とワクワクしていたのだが、翌朝はあいにく雪ですらなく雨だった。雨は昼過ぎまで降り続き、おかげで新雪はややぐっしょりとしてしまった。雨がやんだ後で公園まで散歩に出かけたら子供たちがあちこちで雪だるまを作っていたが、ややぐっしょりとしているせいでどれも茶色く、はっきり言って汚く見える。作った当の子供たちも「なんか汚いな……」と思ったのかどうかは知らないが、球体を二つ重ねた後は目鼻をつけるでもなく、茶色い二個の球体としてそのまま放置していた。結果、雪だるまというよりは地蔵か道祖神のようなものがあちこちに生えているように見えた。

・雪のあとは嘘のように気温が上がったので、即席の道祖神たちはあっという間に姿を消してしまった。

・今週読んだもの

・↑は個別感想。以下まとめ。

虚構推理短編集 岩永琴子の純真 あらすじ
・雪女のジレンマ
かつて雪女に命を救われた昌幸は元妻の裏切りから人間不信になり、雪女と会った近くの田舎で隠棲するが、そこでかつての雪女と再会し交流を持つようになる。そんな折元妻が殺され、元妻による告発文が発見される。昌幸のアリバイを証明できるのは雪女だけであり、雪女のことを説明できないせいで余計に警察の疑いを強めてしまう。困った雪女は岩永に相談する。
・よく考えると怖くないでもない話
心霊スポットとしてワケ有りの家の整理を手伝った九郎。しかし後に岩永から、心霊の噂はでっち上げであったことを聞かされる。暗闇で岩永が皿回しの練習をしていたりする小ネタ。
・死者の不確かな伝言
とある会社員が夜道で後頭部に打撲を受けて死亡した。現場にはダイイングメッセージで名前が残されていたが、告発されたと思しき岳彦はまったくの無罪で事件は解決する。岳彦氏は捕まりはしなかったものの、ダイイングメッセージに挙げられるような人間ということで社会的信用を失い、不利益を被っていると大いに嘆いているようなのだが……。岩永は自作自演の可能性を炙り出す。
・的を得ないで的を射よう
拾った弓矢の所有権で猿妖同士が争い、岩永に仲裁を求めて来たためウィリアム・テルよろしく九郎の頭に置いたリンゴを射抜いた方のものとする、という、大岡裁き風の小ネタ。
・雪女を斬る
名を成した剣客の末裔という静也から、その祖先について相談を受ける岩永。その祖先は雪女を斬り、それによって流派の奥義を完成させたと言う。しかし祖先は奇妙な状況で変死しており、末期の言葉は「ゆきおんな」であったと言う。静也はその不可解な状況について岩永に問うが、その根底には自分が雪女の子孫なのではないか、という疑いがあった。
静也が怪異に近づきすぎることを懸念した岩永は祖先こそが雪女であったという表ルートと、雪女に手ほどきを受けたが懸想する雪女の死を知って自殺したという真実の2種類を語り、いずれにせよ悪い宿縁はないと説く。

・このシリーズの短編集好きだな。特に雪女シリーズの二つは登場人物の繋がりもあり、奥義の内容とかもしっかり詰めてあって時代劇というか剣客モノとしても面白く、真相も意外性があって良かった。

・短い小ネタ二つも岩永と九郎の関係性が伝わってきて面白かった。もっとも、この二人の関係性については掴めそうで掴めないのがシリーズを通じてであり、そこがまたシリーズの魅力になっているのだが。

ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~ あらすじ
・第一話 夏目漱石『漱石全集・新書版』
大輔は祖母の形見である漱石全集の中に混ざっていたサイン本の鑑定を頼む過程で、入院中の古書堂店主、栞子と出会う。サインは偽物であったが、実は大輔の母の出生に関わる重大な秘密が隠されており、栞子はたった一冊の本からそれを浮かび上がらせて見せる。
・第二話 小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』
古書堂常連のせどり屋、志田から大輔はある依頼を受ける。大事にしていた本が盗まれたので、それが売られてきたら教えて欲しいという。しかし盗まれた経緯を調べるにつけ不自然な事実が浮かび上がり、栞子はそれらの事実から犯人の少女、小菅奈緒の意図と当日の出来事を審らかにする。反省した奈緒は落穂拾いに因んだプレゼントと共に志田に謝罪し、ホームレスと女子高生の奇妙な友情が芽生えるのであった。
・第三話 ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』
妙にかっちりした会社員、坂口昌志が売りに来た『論理学入門』。しかしすすにその妻を名乗る女性から電話があり、大事にしていた本を売るのはおかしいと言う。栞子の病室にやってきた二人の前で、全てを察した栞子は隠せることと隠せないことがあることを昌志に諭す。昌志は視力の落ちる病気について打ち明けて本が読めなくなったと告白するが、妻は自分が読み聞かせるから問題ないと言い、また昌志はもうひとつの服役の事実をも明かし、夫婦の絆を高めて本を売らずに帰っていくのだった。
・第四話 太宰治『晩年』
ずっと入院しながらこれまで謎を解いてきた栞子が、その理由は誰かに突き落とされたからだと告白する。犯人は栞子所有の貴重なアンカット初版本に執着し、何をしてでも手に入れようと企んでいるのであった。仮に逮捕されても一生つけ狙われると感じた栞子は一計を案じ、犯人を罠にかけ、狙いの本はすでに焼失したと見せかけることにする。

・ミステリ×古書ウンチク×ライトノベルといった一冊。おそらく作者が思った以上に食い合わせが良い組み合わせで、言わずと知れたヒット作となった本作である。たぶん出版当時にも読んだのだけれど再読。あらためて読むと大輔が雇われるくだりはちょっと強引で、妹が怪しむのも分かる。後のシリーズで理由が明かされたりするのかな。

マグダラで眠れ あらすじ
教会・騎士団・商工会がそれぞれに力を持つ世界、「錬金術師」という職業が、魔女や悪魔憑きのごとく忌み嫌われながら、その有用性のために存在していた。騎士団所属の錬金術師クースラは一緒に修行した錬金術師ウェランドと共に最前線の街グルベッティに派遣される。最前線では効率のいい製鉄が不可欠なため錬金術師にとっては良い環境だが、工房には教会派遣の世間知らずの少女、フェネシスが監視役として派遣されていた。クースラはこの少女を扱いかねつつ、錬金術について教えたりする日々の中で、少女に対して特別な感情を抱くようになる。一方フェネシスにも得体の知れない錬金術師のもとに派遣されるしかなかった事情があり、その身は呪われし獣人なのであった。
クースラたちは殺された前任者トーマスの研究をなぞることにより彼が殺された理由に迫り、やがて騎士団の上司ポーストの不正を暴くに至るのであった。

・未履修ラノベをたくさん読もうの会の一環。狼と香辛料の人なんだね。

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