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「近畿地方のある場所について」感想

お友だちにすすめられてネット上で読んだのがきっかけ。
(カクヨムで読めるので興味ある方はぜひ
https://kakuyomu.jp/works/16817330652495155185
すごく怖くて、大人になってから読んだ怖い話でこんなに怖いと感じたのは初めてだったかも、くらい。
流行りのモキュメンタリーというジャンルで、リアリティを追及した形式で書かれたフィクション。作者の背筋さんが、消息を絶った後輩ライターの情報を求めて、彼とのやり取りを記録していくという流れだ。
ネット上への書き込みであったり、雑誌の記事であったり、様々な奇妙な情報のひとつひとつが、徐々にひとつの方向へと繋がっていく。
その様子にぞわぞわ、ぞくぞくする。だんだんと謎が解けていくミステリーを読んでいるのに近い感覚だ。

とにかく巧み。フィクションだとわかっているのに、本当にあった出来事なのではないかと思えてしまう。
怖いのは、誰もが「当てはまって」しまうことだろう。もしかしたら、自分もその怪異に見舞われてしまうかもしれない……という、恐怖(期待?)を楽しむことができる。

結構なボリュームなので、ネット上で読むのはいささか大変。(でもリアリティがあるのはネットで読む方)
書籍になって手元にあれば、すぐにこれまでの記事を振り返ることができる。
そして嬉しい(?)ことに、巻末に袋とじの「取材資料」がついているのだ!凝ってる~

日常は怪異と隣り合わせなのかもしれない、というぞくぞくする感覚を得られる貴重な読書体験。
雨穴さんを筆頭に、モキュメンタリーホラー作品を味わうことのできる現代に感謝だ。
この、近畿地方のある場所ってどこだろう、と探しに行きたくなる。でも、ナニかに魅入られてしまいそうで、怖くて行けないな……


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