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【ショートショート】不気味な三つ子ちゃん


とある夫婦に三つ子が生まれた。全員男の子の三つ子ちゃん。

夫婦はたいそう喜んだ。それからというもの、夫婦は三つ子に何でも買い与えた。お揃いのオモチャにお揃いの洋服。いつも同じオヤツを買い与え、たいそう甘やかした。

三つ子ちゃんは、いつも同じ髪型で、同じ背丈。同じ時間に起きて、同じ時間に寝た。何をするにも皆同じ。夫婦も、そんな三つ子ちゃんをたいそう可愛がった。


最初は可愛い可愛いと言っていた世間も、ここまで何もかも同じだと不気味に思えてきた。可愛いのだが、ドコか不気味。

夫婦の両親が「しっかり息子をみろ!」と怒るときもあった。夫婦は、その怒りを理解できなかった。

こんなに愛情を注いでるのに。

三つ子は三つ子で、いつも同じ兄弟といつも同じ行動をした。二人が寝れば一人も寝るし、一人が起きれば二人も起きる。

好物も同じだった。二人が食べれば一人も食べて、一人が苦手なら二人も苦手だった。

何もかもが同じだった。


三つ子ちゃんは高校生になった。高校生になっても、三つ子ちゃんは同じだった。

同じ服を着て同じ髪型。同じ高校に通い、同じ子を好きになった。同じ人を虐め、同じ人を傷付けた。

夫婦の溺愛ぶりは健在で、三つ子ちゃんが欲しがれば何でも買い与えた。同じ服に同じカバン。何でも買い与えた。

世間は彼らを不気味がり、両家はそんな夫婦に呆れた。夫婦はそんなの気にしなかった。夫婦は三つ子をたいそう可愛がった。








三つ並ぶ遺影と位牌。

三つ子ちゃんは死ぬときも同じだった。同じ日、同じ時間、同じ場所で、同じ死に方で、同じ男に殺された。


犯人の男は言う。


「僕だって、両親から愛されたかった」


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