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型式証明と米国規則

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米国の型式証明制度を中心に制度の紹介をします。EMC分野に関しては、具体的な証明に有益な情報を共有します。
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#DO160

DO160 section-22 pin injection testの概要(前編)

1.背景

今回の投稿では、航空機レベルの証明要求の一つであるIEL(Infirect Effect of Lightning)から見た機器レベルの証明であるDO160 section 22の要求内容について概説します。DO160 section-22には、本記事で紹介するPin injection testだけでなくCable bundle testに関する証明手順も含まれますが、今回はPin

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型式証明における雷撃保護設計の証明基準

1.証明要求基準背景

航空機に搭載される電気電子機器又はシステムは、継続した安全な飛行並びに着陸を行う上で、こう下機能を有する電子機器が誤動作し、電気電子機器の機能が正常に機能しなくなったり、機能が失われることを防ぐ必要があります。また、航空機が雷撃を受けることにより航空機が構造的な損傷を受けることがあり、こうした構造的な損傷が継続した安全な飛行並びに着陸を妨げることも避けるための設計である必要

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型式証明とTSOAとDO160

1.航空機の認証基準と装備品の認証基準米国において、一般には型式証明と呼ばれる航空機の安全性を証明するための認証を獲得しなければ、航空機を商用飛行に用いることができません。航空機の証明要求基準は各種航空機のカテゴリー、エンジン及びプロペラのそれぞれに対して証明要求基準が規定されています。この証明要求基準のことをAirworthiness Standardといいます。一方、航空機に搭載する装備品につ

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型式証明とHIRF(高強度放射電磁界)

型式証明とHIRF(高強度放射電磁界)

1.背景HIRFとはHigh Intensity Radiated FIeldの頭文字をとったもので、米国におけるHIRF規則は、強電磁界の環境下において、航空機に搭載された電気電子機器システムの機能の健全性を確保するための証明要求です。この強電磁界環境は、強い電波を発する電波塔の近傍を航空機が通過する場合などを想定したものです。このため大出力の電波塔周辺に航空機が接近すると驚異度が上がります。こ

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航空機が遭遇する環境

1.背景航空機を開発、或いは航空機への搭載を前提とする装備品の開発を行う場合、それがどのような環境条件下で使用されるのかを考えておく必要があります。想定される航空機や航空機に搭載される装備品の使用環境において、飛行安全を確保する必要があるからです。航空機の運用条件は様々なものがありますが、その中に環境条件も含まれます。高高度を飛行する飛行機と低高度を飛行する飛行機とでは遭遇する環境条件が異なってき

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DO-160 section 20、試験カテゴリの選定

DO-160 section 20、試験カテゴリの選定

1.背景今回は、DO160 section20, RADIO FREQUENCY SUSCEPTIBILITY (RADIATED AND CONDUCTED)についての概略を紹介したいと思います。

この試験は、航空機搭載機器の環境要求の一つであるHIRF耐性証明に強く関係するもので、航空機の証明である型式証明の2X.1317/23.2520/23.1308にも関係があります。この試験は、HIR

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