伏線ミス

「あなたはあの時シワワさんのことをお父さんと、はっきり口にしましたよね」
 にやりと探偵が誇らしげに笑みを浮かべる。
「そんなの言ってないよ。みんなは覚えている?」
「いやー、どうだったかな」
「すみません。わたしはその時いなかったので」
「おれもその時は遺体になっていたからな」
「あのー、探偵さんの記憶違いなのでは?」
 ふっ、と探偵がまた笑う。
「みなさんの言うとおり記憶違いのようですね」
 けど、遺体の彼の証言によって真犯人はきちんと逮捕された。

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