お別れはいつも
最近、地域猫のブチ子を見かけない。
前にもしばらく姿を見せないことがあったけれど、今回はずいぶん長い。
寒さにやられてしまったのか、事故にでもあったのか。
心配していたら、飼い主さんが見つかって、保護されたと聞いた。
ブチ子はとても大きな猫で、年齢も10歳を超えているから、引き取ってくれる方が現れたのは、本当にありがたい。
地域猫のままだったら、この冬を越せるかどうかも分からなかったし。
頭のなかで、くるくると考える。
でも、圧倒的な寂しさはぬぐえない。
気持ちはいつも、理屈についていけない。
今の家に住んで、8年あまり。
ブチ子はずっと近くにいた。
さわれる猫じゃないから、少し離れたところから眺めるだけだったけれど、最近は人懐こくなって、ちょっと触れたこともあった。
ブチ子のしっぽは短くて、とてもかたかった。
朝、カーテンを開けると、お向かいのひさしの上にブチ子がいて、ああ今日も頑張ろうと思えたのに。
人も猫も年をとるから、いつまでも同じではいられない。
お別れは、いつも突然やってくる。
しばらくは、寂しさから逃れられないだろう。でも、ブチ子におうちができて、本当によかったのだ。
早く、気持ちがついていけるといいな。
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