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方向音痴と、短歌と

昔から、極度の方向音痴だった。
今でも、社内でさえ、迷うことがある。

歌人には方向音痴の人が多いと、穂村弘さんのエッセイで読んだ。
え、そうなんだ、と思って嬉しかったけれど、歌人が方向音痴であるからといって、方向音痴な私が歌人になれるわけではない。
論理というのは冷たいものだ。

歌を作り始めたころ、穂村さんの「短歌という爆弾」の、導火線(序章)と終章に感動して、私も歌人に!と思ったものの、枡野浩一さんの冷静な解説に、我に返った。

「穂村弘は短歌に選ばれた人で、だれもが穂村弘のように短歌を「爆弾」として活用できるわけではない。まにうけたら、やけどするぜ。」

「今すぐ歌人になりたいあなたのために」というサブタイトルは、「今すぐ歌人になりたいあなたのために、今すぐ歌人にはなれないよと、世界の厳しさを伝えます」の略ではないかと、枡野氏。
たしかに、肝心の本の中身が全然理解できなかったし、道のりは遠そうだ。

「短歌に選ばれた人」って、かっこいいな。
大空を悠然と飛翔する鳥のイメージ。
私は地上から見上げる。

歌い続けていれば、一瞬でも、翼を授かることがあるだろうか。
それまでは、地を這う虫として、地上のことを歌おうか。

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