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ストーブと、猫

疲れきって帰ってきたら、テレビで岩合光昭さんの「ねこ歩き」が放送されていた。
赤く燃える石油ストーブの前で、丸くなって眠る猫。
かわいいなあ。平和の象徴だ。

昔、祖母の家で飼っていたシャム猫「チャム」も、冬になると、石油ストーブの前によく陣取っていた。
なぜかいつも、ストーブの方を向いて、猫背で座っている。
鼻の頭が乾くよと笑われても、絶対にストーブに背中は向けない。

暖かいのは好きだけれど、やっぱりストーブの熱が怖いのかな。
頭の良い猫だったから、火の恐ろしさを、よく理解していたのかもしれない。

ある朝、震えながら居間に行くと、チャムがまだ火のついていないストーブの前にすまし顔で座っていて、思わず笑ってしまったことがあった。
やはり大真面目にストーブの方を向いている。今日はなんで暖かくないんだろうと思っていたのだろうか。それとも、寝坊の私に、無言の抗議をしていたのか。

今はすっかりエアコン生活。時々、石油ストーブの暖かさ、あの明るいオレンジ色が、懐かしくなる。
ストーブの上でシチューを混ぜたり、焼きいもをしたりしながら、チャムと並んで暖まる。

冬がしんどくなったのは、猫と暮らせなくなったからかもしれない。

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