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ポテトチップス「湖池屋」のプレミアム戦略

株式会社湖池屋は、
1953年に創業したスナック菓子の老舗企業。

1962年、
「ポテトチップス のり塩」の製造販売を開始


*当時は塩味が主流でしたが、
 せっかく日本で作るのだから、
 日本人になじみのある味にしようと工夫し、
 研究を重ね「のり塩」を開発しました。

1967年、
ポテトチップスの量産化に成功

株式会社湖池屋の2024年3月期決算は、
・売上548億2900万円(昨対比23%増)
・営業利益35億9800万円(昨対比102%増)

一方で、現在ポテトチップス界No,1の
カルビー株式会社は1949年に設立し、

1975年、湖池屋よりも後に、
ポテトチップスの製造販売を始めました。

カルビー株式会社の2024年3月期決算は、
・売上3030億2700万円(昨対比8%増)
・営業利益273億400万円(昨対比22%増)

*カルビーは松本晃会長(2008-2018)時代に、
 スナック菓子の価格を戦略的に下げ、
 数量を伸ばすことによって、
 工場の稼働率を上げるコスト削減戦略により
 ポテトチップスのシェアを
 63%(2011)→72%(2018)まで拡大させた

【ポテトチップス界の2強】
味替え×値下げ戦略のカルビーに対して、
湖池屋は、素材にこだわった
大人向け独自戦略を展開しています。

湖池屋は2015年頃、
カルビーの後追いをして味替え商品を展開し、

もも味、ばなな味を出して話題を呼びましたが
売上は伸びず失敗に終わりました。

2016年に就任した
株式会社キリン出身の佐藤章社長は、


既にあるものからアイデアは生まれない。
価格戦争に参入して売上だけを取りにいく
(利益が取れない)大量生産販売の時代ではない。
として戦略を見直した。

佐藤章社長(2016-)はキリンで
「生茶」や「FIRE」などを
ヒット商品に導いた実績を持ち、

湖池屋を2011年から資本業務提携した
(2020年には連結子会社になった)
日清ホールディングス安藤宏基社長に
勧められて湖池屋の社長に就任しました。

まるで料理人のように、
素材や製法、味付けにこだわっていた
創業者の情熱を商品に反映されることに決め、

2017年、
ポテトチップス相場の1.5倍の値段で、
「PRIDE POTATO」を発売しました。


国産じゃがい100%、揚げ方にもこだわった
文字通りプライドをかけて開発した商品です。

味付けも日本を全面に打ち出した
「秘伝濃厚のり塩」「松茸香る極みだし塩」
「魅惑の炙り和牛」の3種類で販売しました。

高単価で収益性の高い「PRIDE POTATO」は
スーパーなどの小売店に好まれて拡販しました。

湖池屋は「プレミアム」の地位を築き、
カルビーに対抗しない戦略を取ることで、
2019年以降、増収増益に転じました。


将来的には、
スナックを好んで食べる子どもの人口が減るため
新しいチャレンジすることも必要で
昼食やスイーツ代替の可能性を模索しています。

2019年にカンブリア宮殿に出演された時に
佐藤章社長が言っていた「座右の銘」は、

【隗より始めよ!】


いろんな事を成功させるためには
まず自分からやり始めないと
優れた人材は集まらない。という意味。

苦しい時こそ自分で切り開いていかなければ
物事はうまくいかない。

そんな思想から、
湖池屋は毎回主人公が変わる
主体的な組織になっている。

色んな考えがあれば
仕事は何倍も面白くなる。

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