スイッチ

スイッチを入れる。頭を酷使するスイッチだ。

たまにはスイッチを入れなければ、錆びついてしまって、次にスイッチを入れたときに台座ごと壊れてしまう。だからたまにスイッチを入れる。必要に迫られて入れることの方が多いが。

試験前などはスイッチを入れるいい機会だ。スイッチを入れないとまず勉強が間に合わない。締切前に必死になるのも一緒だ。

スイッチを入れると、集中力の質が上がる。研ぎ澄まされる。水に沈んでいくように、澄んでいく。思考が鋭利になっていく。しばしば集中が断絶するが、それでもまだ奥に飛び込んでいける。

ところでスイッチを入れるにも、入れ方がある。手を思考に用いなければならない。目で文を追っているだけでは頭が働かない。手を動かしながら考えることを学校教育で叩き込まれた結果、手を動かしながら思考すればスイッチが入るようになっている。逆に言えば、手を動かしながら思考すれば、割りと簡単にスイッチは入る。

集中を持続させると、頭に熱がたまっていく。澄んだ思考に濁りが生まれてくる。濁りがたまって、重くなっていく。重さで前に進めなくなったら限界だ。何も出来なくなる。少なくともオーバーヒートを冷やす時間が必要だ。

冷やす時間がなく、さらに酷使することもある。無理やり限界がきていないようにするのだ。もちろん、集中の質は底辺だ。文章は表面をなぞるだけになり、1%でも頭に残っていれば良いと願いながら、不毛な努力をする。仕方ない。時間がないのだから。スイッチが切れてないうちは酷使できる。


早くスイッチを切りたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?