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父親のこと6

退院してきた父親は、はじめのうちは、テレビを大音量でつけなくなったり、朝ちゃんと起きるようになっていました。
病院で注意されたり、規則正しい生活を促されていたからではないかと思います。
でも、すぐに退院前と同じように戻りました。

病院から紹介されたケアマネージャーさんにいろいろ相談し、介護認定を受け、訪問診療、訪問看護をお願いしました。

お医者さんには一応暴言を吐きませんでしたが、男性の看護師さんには
「お前は誰だ!」とか、
「お風呂に入りましょう」と言う看護師さんに
「俺は体が辛いんだ!」「どいてくれよ!ここは俺の家だ!」
「殺意があるな!」
など、散々に暴言を吐きまくっていました。

一度、またトイレで転んだ父親をベッドに戻すことが出来ず、お願いして来て下さった訪問看護師さんにも、やっぱり「お前は誰だ!」など、
助けて下さっているのに暴言を吐いていました。
そして、しつこく「医者か?!」と聞き、
見兼ねた母が「そうだよ!お医者さんだよ!」と言うと、ようやく大人しくなりました。

これも、認知症だから、と多くの方は思われるかもしれませんが、若い頃から他人を見下す人間性の父親だったので、私には認知症だからとは思えませんでした。

そして、どんどん足が弱り、とうとうトイレにも自分で行けなくなり、それでも行こうとしてベッドから落ち、その度に「おーい!おーい!」と呼ばれ、ベッドに戻しました。
簡易トイレも近くに用意しましたが、それは拒絶、オムツパンツをはかせましたが、それも拒絶していたので、母と二人ではかせるのも一苦労でした。

最後はオムツになりましたが、最後まで「抱っこしてトイレに連れていけ」と言っていました。
母が「そんなことは出来ない」と言うと、「優しいと思っていたのに、本性を現したな!」などと言い返していました。
そして、「おーい!おーい!」と叫び続けていました。

叫び続け、声がかすれて出なくなってきて、数日後、母を探して父親の部屋を覗いた私は、父親の顔が白いのに違和感を覚えました。
すぐに、他の部屋へ母を探して行き、母に父親の顔色が白いことを伝え二人で父親の部屋へ行きました。

「ついさっき、ヨーグルトを一口食べたばかりなのに」と言う母も、驚きながら、父親が息をしていないことを確認しました。
そして、まず訪問看護の看護師さんへ連絡して来ていただき、父親を見ていただき、看護師さんから訪問診療の医師へ連絡していただきました。
退院から3か月後のことでした。

老衰、と言うことでした。

87歳でした。


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