ガイドから旅行コンサルタントに進化していこう
一般的なガイド業務は、旅行会社からの依頼で、旅行会社が決めた旅程でお客さんを案内し、関連した情報提供をする仕事です。様々な人との交流がありますし、多くの観光地に行って楽しい体験もできるので、旅行好きな人にとっては、とても魅力的な仕事です。
ですが、何事も同じことを続けていると、マンネリとか飽きるという状態になってしまいがちです。更に、同じことの繰り返しをしているのでは、大きな収入アップも期待できません。
ここで考えましょう。仕事を多く獲得すれば収入は増えるかもしれませんが、自分の時間は減ります。自分の時間を確保したまま収入を増やすには、仕事の質を変えていくことが必要です。より価値の高い仕事へとシフトしていくのです。
こう言われると、「価値の高い仕事って何よ?」と思うでしょう。それって、観光地の詳しい説明をするとか、笑顔でお客さんに接するっていうこと?と思うかもしれません。しかし、そういうことではありません。この記事では、そうした疑問にお答えしていきたいと思います。
ガイドと旅行コンサルタントの違い
サービスは、提供される側の立場で考えると良いでしょう。すると、価値の高い仕事というのは、お客さんの要望に合った満足度の高い仕事のことだということになります。旅行会社が定めた旅程にそって、一生懸命案内をして、できる限りの説明をするのですが、そもそもその旅程はお客さんの要望に合っているのでしょうか?
大手旅行会社は、多くの客を相手にしなくてはなりません。一人一人の要望に沿って考えていては業務が回りません。できるだけ同じ旅程、同じ日程でお客を画一的に扱うことのできる団体のほうが売上も大きく、会社にとってありがたいのです。大手旅行会社の仕事は、こうして画一的なものが多くなり、それをガイドが案内するということになるのです。
こうしたサービスに満足できない、ハイクオリティなお客さんはどうするのでしょうか?海外では、旅行コンサルタントという職種があり、個人のお客さんの要望を聞き、旅行プランを策定します。旅行プランナーとも言われます。日本ではどうでしょうか?残念ながら、日本では独立した旅行コンサルタントはあまり見かけず、旅行会社社員として企画部等に勤務することが多いようです。
なぜ通訳案内士がコンサルタントを目指すべきなのか
私は、これからの通訳案内士は、旅行会社の下請けのような立場から、独立した旅行コンサルタント(兼ガイド)のような役割に、自己改革すべきだと思っています。それが、訪日客の満足度を高め、ガイド自身もより自由な立場で仕事ができるようになるからです。
なぜ通訳案内士がコンサルタントを目指すべきかというと、今の業界の中で、それができるのは通訳案内士しかいないからです。なぜそう言えるのか、もう少し詳しくご説明したいと思います。
先ず、旅程作成やスケジューリング、訪問先の選定という業務は、現場で日々仕事をしている通訳案内士にとっては、ごく当たり前の仕事です。この業務は旅行会社の役割だと思いますが、特に個人旅行の場合、この業務はしばしば旅行会社から通訳案内士に丸投げされます。既に普段からやっているのですから、何も心配はいりませんね。
もう一つは、今の業界構造の中で、純粋に「旅行コンサルタント」だけでは、職業として成り立ちにくいからです。旅行会社が利益をとり、旅行コンサルタントが利益をとり、実際にガイドをする案内士が利益をとっているのでは、非常に割高な値段になってしまいます。ですから、通訳案内士が旅行コンサルタントの仕事を兼務して、ガイド料に利益を上乗せするというのは、とても現実的な方法だと思います。
同時に、通訳案内士が自分自身で直接訪日客から受注すれば、旅行会社が得ている利益も取り込むことができます。これを目指しましょう。
新たな分野のパイオニアをめざそう
ガイドが、旅行プランまで訪日客に直接提案するというのは、これまであまり無かったことかもしれません。けれども、インターネットやスマホがこれだけ普及して、個人と個人がつながることが容易になった今では、これが当たり前のことになると思います。
日本訪問を考えている海外の旅行者も、海外の旅行会社や旅行コンサルタントも、日本国内でこうした役割を担ってくれるガイドと提携したいと、本当に思っています。私にも、海外の旅行会社やコンサルタントから業務依頼が入ります。他にこうした仕事の仕方をしているガイドがいないからでしょう。
何事も、他者に先んじて挑戦し、一定の基盤を築けばその分野のパイオニアとなれます。旅行業界はまだ変革が始まったばかりですから、今からでも十分変化の先頭に立つことできます。皆さんの新しいチャレンジを私も心から応援したいと思います。
まとめ
「旅行会社の下請けでガイドをするよりも、旅行コンサルティング+ガイドという業態に進化して、訪日客から直接受注しよう」でした。
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